2024年度重賞戦記 1/26 ヒロインズカップ

■人気別成績【1着.2着.3着.着外】
1番人気【1.1.3.5】
2番人気【3.4.1.2】
3番人気【4.1.3.2】
4番人気【0.3.0.7】
5番人気【2.1.0.7】
6番人気【2.1.0.7】
7番人気【0.0.2.8】
8番人気【0.0.0.10】
9番人気【0.0.0.9】
10番人気【0.0.0.8】
※9頭立て1回、8頭立て1回 
1番人気が非常に苦戦するBG1です。BG1ですが別定戦でかなり重量差があります。オープンで活躍する人気馬がこぞって重量差で負けている印象があります。ナナノチカラ、キサラキク、ミスタカシマ、サクラヒメと名だたる牝馬達が1番人気で負けています。いままであとちょっと届かなかった牝馬がここで栄冠を手にする…といったパターンが多いようで二番人気、三番人気の勝率が良いです。また、出走馬の実力差が大きなレースで、8~10位の下位人気からは入着がありません。

■騎手:3着以上入着が3回以上の騎手をピックアップしてみました。
騎手名 :【1着.2着.3着.着外】
阿部騎手 :【2.3.1.4】
藤本騎手 :【2.2.0.6】
西謙一騎手:【1.2.1.3】
島津騎手 :【1.1.2.4】
藤野騎手 :【0.1.2.3】
鈴木騎手 :【0.1.2.5】
フォルティシモとアーティウイングの引退式でも思っていた、牝馬といったら阿部騎手!を裏付ける阿部騎手の成績。そしてシンエイボブのイラストコラムを描いた&書いたときには藤本騎手気難しい女の子をエスコートするのが上手いんだろうな…と思っていましたが、やはり藤本騎手も好成績でした。ただ今年はどちらも乗り馬がおらず…ここで名前があがっている騎手の中では唯一鈴木恵介騎手がピュアリーナナセに騎乗します。

■馬番:馬券圏内に入着した回数を馬番ごとに記載します

着/馬番12345678910
1着01142000
2着12211101
3着0113102200
9頭立て1回 8頭立て1回
牝馬にとっては高重量戦。5回入着があった馬番は4、6、7とかなりはっきり中枠有利の数字が出ています。特に6番は4勝。今年は6番にロングビウテイ、7番にスイが入りました。


■重量:【1着.2着.3着.着外】
750【0.0.1.3】
760【3.3.1.22】
770【3.2.2.18】
780【3.4.3.12】
790【1.1.0.6】
800【0.0.2.3】
810【0.0.1.3】←3着 ’24 サクラヒメ
820【0.0.0.1】←着外 ’23 サクラヒメ
入着率的に一番好成績なのは780㎏で、勝ち馬は790㎏までです。800㎏を越えはキサラキクやミスタカシマといったレジェンド級の牝馬達です。この数字を見ているとBG1なんだし、強い馬に強いレースをさせてあげて欲しい…とどうしても思ってしまいます。今年のサクラヒメは810㎏。昨年の810㎏の3着も素晴らしいと思って見ていました。今年は彼女がこのハンデ差を克服できるかが最大の焦点だと思います。

年齢
年齢【1着.2着.3着.着外】
4歳【0.0.0.2】
5歳【3.3.1.19】
6歳【3.2.3.22】
7歳【2.3.2.12
8歳【0.3.1.8】
9歳【1.0.0.2】←’23 ナカゼンガキタ
7歳で出走馬が大きく減りますが、入着数が5~6歳馬とほぼ互角なのは、7歳以降でも現役を続けている馬達は、本当に強く賞金を稼げるバリキャリ組だからです。ただし、8歳馬以上の入着馬5頭のうち4頭はオークス連対馬、例外のアアモンドマツカゼも天馬賞で4着の実績がある馬でした。8歳以上の馬は世代のトップクラスであることが条件です。


■おまけ「高重量入着歴」
ヒロインズカップ出走までに3着入着した中での最高重量が何キロか…というデータです。結構はっきりした結果があって、過去10年でのべ30頭いる馬券圏内入着馬の中で、28頭700㎏以上での上位入着歴がありました。2頭の例外はあるものの、やはり今までに700㎏以上で上位入着をしている馬をピックアップしたほうが良いと思います。


 
・当日2~3番人気
・780㎏
・7歳
・前走までに700㎏以上で上位入着がある

 人気は当日にならないとわからないのですが、おそらく1番人気はサクラヒメだと思います。人気になりそうな実績馬、シンエイアロイやダイヤカツヒメが800㎏とハンデを背負いました。サクラヒメも厳しいけどライバルもみんな厳しい。相対的にサクラヒメが押し切れる可能性も高くなりました。入着実績の多い780㎏はピュアリーナナセ、スイ、アローリキヒメの3頭です。7歳馬はサクラヒメ1頭、5歳馬の出走が無く、8歳馬のロングビウテイは世代重賞の実績がありません。また、ニシキマリン、スーパードリーム、ホクセイサクランボの3頭は700㎏以上で3位以上の入着歴がありません。

 おそらくハンデと前走成績を考るとスイは2~3番人気になるだろうと予想します。成績の良い7番にも入っていますし、◎はスイに打とうと思います。対抗はサクラヒメ。あとはピュアリーナナセアローリキヒメを同列で。馬券の買い方としてはスイとサクラヒメの馬連と、この2頭から2軸で三連複をピュアリーナナセとアローリキヒメに流す…感じでしょうか。雨降り雪降りで極端に馬場が軽くなるようであれば、800㎏のシンエイアロイやダイヤカツヒメまで流す相手を広げようとと思います。

 ただ、心情的にはこれで引退になるだろうサクラヒメに取らせてあげたい!810㎏で勝てたら本当に凄い事です。頑張って欲しいなぁ!

 このレビューを書くために改めて今井調教師のインタビューを聞いていたのですが、なんというかじんわり来るコメントで…。本当にお人柄が現れているインタビューでした。思えばヒロインズカップ4頭出し。そういえば以前、何かの取材で今井調教師はうちは馬も人も女性が強いから…とおっしゃっていましたっけ。

 レースの感想、これは本当にサクラヒメが凄い!偉い!強い!これに尽きるレースだったと思います。本当に素晴らしい。810㎏での優勝は史上初。過去800㎏を越えて勝った馬は、彼女の他は2011年のフクイズミ(800㎏)しかいません。馬場が大いに味方したと思いますが、手ごわいライバルのハンデも800㎏と重く、相対的にサクラヒメが楽になったと思います。

 有力馬が揃って未経験の高重量になるとどうなるか…前半のペースがスローになります。この重量だと一度坂の中腹で止まったら坂を越すことが至難の業で、レースの勝ち負けの圏外になることは確実です。騎手はみんな第2障害を大事に上れるように用心した事と思います。結果慎重なレースにならざる得ません。端的に示しているのが前半のペース。昨年、サクラヒメがソリ半分を残して止まってしまい3着に負けたレースは、馬場水分量1.7%で71秒。それに対して今年は2.6%で82秒。水分量は約1%多く、前半タイムは11秒遅いのです。ばんえい競馬の馬場はざっくり言って水分量が多いほど時計が早くなりますから、このペースの差はものすごく大きい。今回渡来騎手のインタビューでは先行策は考えていなかったようですが、無理せずほぼ先団につけて第二障害を二番手で下りることができました。

 これだけじっくり構えて無事に第二障害の坂を一腰に越すことができれば…。あとは止まることはありません。渡来騎手はサクラヒメが止まらない時はゴール近くでよく「ジョッキー持ったまま!」をやるのですが、これは多分持ったままが一番いい追い方なのでしょう。気性が勝っていて、追われなくても、追った時と同じように前に進む馬なのだと思います。サクラヒメはとても真面目で負けん気が強くて、そしてゴールまでソリを曳くことが自分の仕事だと知っている賢い馬なんだろうな…と渡来騎手の「持ったまま!」を見るたびに思います。彼女はゴールしたらいっぱい褒めてもらえることを、きっとよく分かっているんでしょうね。

 2着は私の本命だったスイが素晴らしい末脚で差してきました。降りてからの切れ味で勝負する馬なので、いつも前半はゆっくり目。高重量戦で、先行馬に置いて行かれることが無いスローペースはありがたかったと思います。ただ、余裕のあるペースで先行するサクラヒメを捕まえるには同じ位置で競馬ができていないと届きません。前半サクラヒメと同じペースで行ってしまっては、障害を無事に越せるかわからないし越せてもあの末脚は出ないはずです。やはり勝った馬が強かったのだと思います。この可憐でかわいらしい馬にはどこかで重賞を獲らせてあげたいです。

 3着は先行して頑張ったニシキマリン。実はニシキマリンはこのヒロインズカップまで700㎏超での3位以上入線が無い馬で、データ的には推し難い馬でしたが…パドックが素晴らしく良く見えました。馬コロナの影響もあってか、出走馬は軒並み馬体重を減らしていた中で、二桁増。芦毛の銭班も鮮やかで、くっきりとパンッと張った丸々としたお尻で活発に歩いている姿は、本当に調子が良さそうに見えました。また、軽い馬場も味方したと思います。やはり軽馬場の高重量は障害が上手で先行して歩き粘るタイプ(私はこれをヤマノホシタイプと呼んでおります)の馬に向いていると思います。このメンバーでの3着は大健闘ではないでしょうか。
 今回は馬コロナでどの厩舎も出走馬の健康管理が非常に難しかったと思います。そんな中で素晴らしいレースを見ることができました。関係者の皆様に感謝です。サクラヒメ、強かったなぁ!

レース結果