ベルジアン種の2大種雄馬とエル ロイ ブラス氏
米国ベルジアン協会のサイト
以前マルゼンストロングホースをこのブログで紹介した際、
【おまけ】ところで、ベルジアンの名馬、マルゼンバージは父系祖父の馬が3×4、全姉妹3頭が3×4×4に入る非常に珍しい形の近親交配になっている…と田島氏の記述(ばんえいスタリオンズvol.5 ハロン1997年9月号)にあります。が…確認するべく馬事協会の5代血統表を見たところ不詳となっています。いったいどうやって調べたの?! とその情報ソースにうなるばかりです。実際、ばんえいスタリオンズで書かれている血統が、馬事協会では「不詳」となっていることは多々あります。先の生年の届出間違いもそうなのですが、田島氏は馬事協会の届出書類ではなく、輸出入手続き書類の原本を当たっているのではないでしょうか…資料の当たり方がすごすぎます。
と記載したことがあります。本当に田島氏はどうやって調べたんだろう…という謎の答えを得る機会がありました。
このサイトのホームページにもリンクを貼っております、「私設ばんえい資料館」を運営していらっしゃる方のFacebook投稿からです。
米国ベルジアン協会のサイトの存在です。ここから、日本に輸出されたベルジアン種の血統をたどることができます。
田島氏がばんえいスタリオンズの記事を書かれたころはこのようなサイトはなかったでしょうから、直接協会にアプローチされていたのではないかと思います。協会の血統登録記録を確認すれば、様々な情報を得ることができます。今はこのサイトを確認すれば、ベルジアン種の「不詳」となっている部分の多くが埋まります。
ネットのすばらしさというのは新しい情報を素早く入手できるということもさることながら、かつて目にすることができなかったニッチでコアな情報の蓄積を検索閲覧できることではないかと、重種馬について調べものをするときに痛感します。
なおこのサイトには、マルゼンストロングホースは1971年生まれで登録されています。日本馬事協会で登録されている1972年の方が誤りです。もっとも、1972年で登録申請されていれば日本馬事協会としてはそう掲載するよりほかないのですが…。これをしっかり調べ上げている田島氏には尊敬の念しかありません。
このサイトの存在を教えてくださった方が、ご自身の資料編纂のために調べられたことに、トウリュウ(34勝,種雄馬 メヂカラ<2018年クインカップ>の父)、ユミタロウ(2003年旭川記念,種雄馬 ハイカラサン<2012年黒ユリ賞>の父)兄弟の母サリーの母の父J. J. du Maraisの血統があります。この種雄馬は父がジャンデュマレイ、母はマルゼンストロングホースの半姉という血統です。事実は小説より奇なり。血統の面白さを感じる事実です。
もっとも、ジャンデュマレイの記事で紹介しましたが、マルゼンストロングホースとジャンデュマレイは同じエルロイブラス氏の生産馬。エルロイブラス氏は当然マルゼンストロングホースの牝系馬を所有しています。そして、ジャンデュマレイは1974年に3歳で輸入。確かに可能な配合です。それにしても…J. J. du Maraisは1974年生まれなので、ジャンデュマレイ2歳時の種付け産駒ということになります。2歳で種雄馬デビュー!ベルジアンって早熟なんだな…と驚かされます。
そして、期せずしてばんえい界のトップ種雄馬の血を受け継いだアメリカのJ. J. du Maraisは母サリーを通じてトウリュウやユミタロウを生みました。やはりベルジアン種が大成功した…というよりエルロイブラス氏の生産したベルジアン種の馬が大成功した…ということを裏付けると思います。
実は現在、陸別の生産者の方から「名馬名血」という70年代~80年代の種雄馬、種雌馬の希少な写真集をお借りしています。こちらに掲載されているベルジアン種の牝馬も何頭か検索してみるとしっかりサイトに載っています。まだ私の中ではピンポイントの情報で、血統のラインとしてつなげることはできないのですが、ゆっくり当たって行けば何か見えてくるものもあるのでは…と思っています。
今回、ベルジアン協会のサイトの存在を教えていただいて、あまりに嬉しくて思わずブログにあげました(笑) 教えていただいたことに心から感謝いたします。過去のブログに加筆するよりきちんとサイト紹介をしたかったので、一つ記事立てをさせていただきました。
また、試みにペルシュロンもこのような協会や登録サイトがあるかも…と検索してみたら…ありました!…が…読めない…翻訳かけてみたら「有料会員」「ログイン」などなど出てきております。フランス語だし…これハードル高いかも…。品種統合などについて現地まで行かれて詳しく調べられた田島氏の凄さを改めて感じます。