第43回北見記念データ予想(結果追記あり)
第43回北見記念(BG2)
3歳以上 オープン
別定1−b
旭川記念、岩見沢記念と続く四市記念の第三段、北見記念。この後BG1の帯広記念へと続きます。ばんえい十勝のサイトでは、先の岩見沢記念に続き、北見記念でも過去の映像を見ることができます(リンクはこちら)! このサービスは本当に素晴らしいものです。
過去のレースを見ていると昔は牝馬で800㎏を超える重量の重賞レースを勝っている女傑が何頭も登場します。直近10年ではキサラキクの3着入着が唯一なので、古き良き時代…と言えるのかもしれません。
勝ち馬に名を連ねるアンローズは偉大な種雄馬ウンカイの妹、サダエリコは名馬センゴクエースのお母さん、そしてヨウテイクインは種雄馬コラムの番外編で紹介した名牝、トツカワが生んだレディースカップ上位独占三姉妹の一頭(名種雄馬を生んだ名繁殖牝馬)。カツマサオーカンは船橋で模擬レースに参戦した馬です(ばん馬が船橋競馬にやってきた!)。伝統ある四市記念の勝ち馬は、そのままばんえい競馬史に繋がります。
よろしければぜひぜひ、独特の名実況とともにかつての名馬たちのレースを堪能してください。
映像に感動して脇道にそれました。本筋にもどり北見記念。現役賞金王のメムロボブサップの出走こそないものの、近年の北見記念ではめずらしいフルゲートで、伝統の一戦らしい豪華メンバーです。別定重量は850㎏。重厚感のある斤量になってきました。別定1-bは本年度獲得賞金200万円につき10㎏の増とあります。出走メンバー中本年度賞金が400万円を超えているのはアオノブラックとインビクタ。200万を超えているのがカイセドクター、ミノルシャープ、メジロゴーリキ、ゴールデンフウジンの4頭。あとは増量無しです。別定戦とはいうものの、ハンデ差は20㎏でおさまりました。
■人気別 馬券圏内入着回数
1番人気:1着1回/2着2回/3着2回(着外5回)
2番人気:1着3回/2着1回/3着2回
3番人気:1着2回/2着2回/3着1回
4番人気:1着1回/2着2回/3着3回
5番人気:1着0回/2着1回/3着0回
6番人気:1着1回/2着2回/3着1回
7番人気:1着0回/2着0回/3着0回
8番人気:1着1回/2着0回/3着0回
9番人気:1着0回/2着0回/3着1回
勝ち馬のオッズは
最低オッズ1.8倍:2013年ギンガリュウセイ
最高オッズ52.3倍:2020年メジロゴーリキ
固い決着の多い古馬重賞の中で、かなり荒れやすいレースだと思います。過去10年で1番人気が1回しか勝っておらず、馬券圏外となったのは5回。6番人気や8番人気からも勝ち馬が出ています。
やはり850㎏を超えてくると、向き不向きがはっきり出てくるのだと思います。また、年度も後半になり賞金も積まれているので、700㎏台で強かった馬が苦手な高重量でさらにハンデを背負う…という状況にもなりやすく、人気馬が飛びやすい傾向にあるのだと思います。
ではその重量。重量別の3着入着回数を調べると…
■重量別 馬券圏内入着数
830㎏:3着1回←2017年:キサラキク
850㎏:1着4回/2着3回/3着3回
860㎏:1着4回/2着5回/3着4回
870㎏:1着2回/2着2回/2着1回←全てオレノココロとコウシュハウンカイ
880㎏:3着1回←2020年:コウシュハウンカイ
過去880㎏の1番人気は2021年センゴクエース(競走中止)、2019年コウシュハウンカイ(4着)と苦戦しています。
今年はアオノブラックとインビクタが870㎏。特にアオノブラックは人気になりそうですが…
オレノココロ、コウシュハウンカイという2大名馬と肩を並べるか?評価が印に反映されそうです。
■枠:馬券圏内に入着した回数を枠ごとに記載します
着/枠 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 0 | 1 | 2 | 3 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 |
2 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 0 |
3 | 1 | 1 | 0 | 2 | 4 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
ここ数年頭数がそろわなくて、フルゲートがあまりなかったので、外枠の母数は少ないのですが、その中で2勝2着2回の9枠はかなり好成績だと思います。あとは中枠の3枠、4枠が良績です。3枠はアオノブラック、4枠はメジロゴーリキです。
■性齢(※セン馬も牡に含む)
牡5:1着1回/2着3回/3着1回←1着は2021年アオノブラック
牡6:1着1回/2着0回/3着4回←1着は2020年メジロゴーリキ
牝6:1着0回/2着0回/3着1回
牡7:1着1回/2着1回/3着1回
牡8:1着5回/2着3回/3着1回
牡9:1着2回/2着2回/3着1回
牡10:1着0回/2着1回/3着1回←2020年の2着オレノココロ、3着コウシュハウンカイ
8歳馬に良績があることがわかります。800㎏後半というのは、古馬として完成しかつ十分な経験が必要な重量なのだろうと思います。帯広記念やばんえい記念といった「高重量戦」に持つイメージは北見記念にも当てはまります。
■騎手
藤本騎手 1着3回/2着1回/3着1回←うちコウシュハウンカイで(2/1/1)
松田騎手 1着1回/2着2回
阿部騎手 1着1回/2着1回/3着1回
西謙一騎手1着1回/2着1回/3着1回←全てメジロゴーリキ
鈴木騎手 1着0回/2着2回/3着1回←全てオレノココロ
直近10年で数字を見ると、お手馬が活躍している騎手がダイレクトに反映されます。もちろん、有力馬をきちんと上位に持ってくる実力は頼りになります。ここに名前が挙がっている騎手ならば安心です。
余談ですが、北見記念はコウシュハウンカイがとても強かったレースです。同時代の最強馬、オレノココロは北見記念は取っていなかったんですね。さらに重くなる帯広記念になるとオレノココロ4勝、コウシュハウンカイ2勝、最も重くなるばんえい記念ではオレノココロは3勝、コウシュハウンカイは3着までと成績が逆転します。重い、すごく重い、めちゃくちゃ重い!の適性の差、ばんえい記念の特殊さが、この成績に表れていると思います。
■厩舎
松井厩舎 1着3回/2着1回/3着2回
坂本厩舎 1着1回/2着2回
金田厩舎 1着1回/3着3回
槻館厩舎 2着2回/3着2回
3以上の入着回数が3回以上の厩舎をピックアップしました。
もはやお約束なのですが…古馬の大きなレース(高重量)と言えば、松井厩舎。
ここでもさすがの数字です。
今年は松井厩舎がインビクタ、マツカゼウンカイ、メジロゴーリキの3頭出しです。
金田厩舎からはアオノブラック、コマサンブラックの2頭出し、坂本厩舎からはカイセドクターが出走しいます。
■タイム
2分20秒~30秒台の決着が7回と最も多く、普段見慣れているレースよりずっと時間がかかっていることがわかります。
最速タイム 1:56.3(馬場水分2.2%・雨)/2017年コウシュハウンカイ(3人気)
最遅タイム 2:50.8(馬場水分2.0%・晴)/2014年フクドリ(6人気)
17年の1人気はオレノココロ(870㎏)で、もっと重い、タイムが遅い馬場でレースをしたかった馬です。この年はキサラキク(6歳牝馬830㎏)が3着入着しており、2.2%という数字以上に雨天で馬場が軽かったのだと思います。
また、最も遅いタイムで決着した14年は、人気薄でばんえい記念の2着に来てあっと言わせたフクドリ(その後に帯広記念を勝ち)が勝っています。1番人気のインフィニティーは馬券圏内に来ていますが、2番人気だったオイドンは9着に敗れています。
速い時計が出る馬場の時は、人気の高重量馬は疑ってかかったほうが良く、時計がかかるときはばんえい記念や帯広記念などで上位入着歴のある、高重量適性を重視して穴馬に探すことをお勧めします。
■前走
古馬重賞なので、前走はだいたいOP特別になります。(岩見沢記念から直行した馬は過去2頭。今年はいません)
過去10年で3着入着した30頭中、前走3着以内だった馬は19頭、連対は13頭。
勝ち馬10頭中、前走3着以内だった馬は6頭。
6着や8着と大きく負けた馬の中からも勝ち馬が出ています。
2~3着はある程度参考にするべきですが、あまりステップのオープン特別は重視しなくても良さそうです。ステップのOP特別と北見記念とでは100㎏ほど斤量に差があるので、条件が異なるためだと思います。
■関連レース
(記載レース3着入着馬)/(過去10年3着入着馬30頭)
前年の北見記念:10/30
ばんえい記念:9/30
帯広記念:5/30
オッズパーク杯:13/30
旭川記念:12/30
北斗賞:9/30
ばんえいGP:15/30
岩見沢記念:13/30
ざっくりと数字だけならべてみましたが…あまり関連性は見当たりません。リピーターが多いレースということもなさそうです。
関連レースは特にありません、と書くのは簡単なのですが、何かないかな…と思ってエクセル表を眺めていて気が付きました。
入着馬30頭中26頭がその年のどこかの古馬重賞で3着以内に入着しているのです。例外4頭中、2頭は同年のばんえい記念を連対、1頭は前年の北見記念で連対、1頭は牝馬でした。それぞれ適性があるか、軽馬場で牝馬減量があるという理由がつきます。
北見記念まで重賞ロードが進み何度も対戦している中で、今期一度も重賞で馬券に絡んでいない馬はさすがにここでも厳しい…ということかと思います。例外はばんえい記念の連対馬。高重量適性があり、ここからの重賞が勝負だぞ!という馬たちです。
■出走予定馬(・今期重賞入着歴<前年度ばんえい記念or帯広記念入着歴>)
1枠 カイセドクター 牡5 860㎏ 阿部騎手
・なし
2枠 キタノユウジロウ 牡7 850㎏ 菊池騎手
・なし
<帯広記念1着>
3枠 アオノブラック 牡6 870㎏ 藤野騎手
・オッズパーク杯1着
・北斗賞1着
・旭川記念2着
<ばんえい記念3着>
4枠 メジロゴーリキ 牡8 860㎏ 西謙一騎手
・ばんえいGP2着
・岩見沢記念3着
<ばんえい記念1着/帯広記念2着>
5枠 ミノルシャープ 牡8 860㎏ 鈴木騎手
・ばんえいGP3着
・岩見沢記念2着
6枠 マツカゼウンカイ 牡8 850㎏ 藤本騎手
・なし
7枠 ゴールデンフウジン 牡8 860㎏ 赤塚騎手
・なし
8枠 コマサンブラック 牡6 850㎏ 金田騎手
・なし
9枠 キョウエイリュウ 牡5 850㎏ 村上騎手
・なし
10枠 インビクタ 牡7 870㎏ 船山騎手
・旭川記念3着
・岩見沢記念1着
ここまでいろいろとデータを揃えましたが…◎はメジロゴーリキです。そろそろ春先からの古馬重賞預金を下ろさせていただきます!データ的にも十分裏付けのある◎です。スピード勝負では馬券圏内に届くかどうか…といった春~夏でしたが、ここからパワーの比重が大きくなる重賞レース。そう、待ちに待った?!ゴーリキの季節です。
とはいえ人気になるだろうな…と思います。実績からいえば〇はアオノブラックになるのですが(というよりおそらく1番人気はこちらかと)、870㎏が気になります。アオノブラックはコウシュハウンカイになれるのか?というところが印のポイントだと思います。とはいえ、軽かったとはいえばんえい記念ですでに3着の実績もあります。5歳で北見記念を勝っている馬は過去10年でこの馬だけです。…やはりこの馬に〇…だよなぁ。
限りなく2番手に近い3番手評価としてはミノルシャープ。四番手がキタノユウジロウ。ユウジロウもここからが勝負の高重量適性がある馬ですが、今回は今期の重賞成績を優先しました。荒れるレースだと書きつつ、正直今回の予想はとても固いです。人気になりそうだけど予想から外すのはインビクタです。まだインビクタは820㎏までしか重量の経験がありません。確かにその820㎏の岩見沢記念では勝ちましたから、今後克服できるかもしれませんが、800㎏の重量で厳しい流れを先行したばんえいグランプリでは競走を中止しています。どうしてもこの重量でのハンデ頭は、ちょっと荷が重いかな…と思っています。
この買い方だと三連複を1点~2点で、3連単でも3点~4点くらいで絞って当てないとトリガミになるので買い方などは明日の馬場やパドックを見てもう少し悩みます。
ところで、データ予想で言えば無印になってしまうのですが、気になるのがコマサンブラックです。ばんえいGPで僅差の4着に来たレースぶりを振り返ると、古馬戦線に入って成長している過程が見て取れます。もしかしてあっと言わせてくれるんじゃないか…と期待しています。
結果:答え合わせ
まずは…メジロゴーリキ様の敗戦理由の分析から入りましょうか…。大ファンですし心情もデータも◎なので、ここから入っているのでキッチリ外しています。
何度かレースを見直して、ついでに去年おととしの北見記念と見比べてみて、さて、この負けの理由はどこにあるんだろう…とひとしきり悩んだのですが…。あくまでも私の見解なので、話半分に読んでください。
敗因は障害にかかる前に今一つ息を入れきれなかったことかな…と思います。障害降りてからは最後まで止まらずに歩けているので…。
ちょっと比較をすると、北見記念を勝った20年の前半は84秒。2着だった去年は81秒。今日は71秒。いずれのレースでもゴーリキは先行しています。第二障害を降りてからスピードにのって差すという馬ではないので、先行逃げ切りがゴーリキの必勝パターンなのです。先行馬なんですが速いペースが得意じゃない…ので高重量戦のペースが合うのです。もちろん、パワーがあって、重量に対応できるという大前提はありますが、ゆったりとしたペースでこそ本領が発揮できる馬であることは間違いないです。
今回は隣がアオノブラックで、意識して前に出したというのもあると思います。勝ちタイムも2:16.0秒とこの重量と馬場にしてはとても早かったのです。アオノブラックはタイム的にも本当に強かった。ハイペースを押し切っての完勝と言っていいレース内容でした。パドックでの馬体もぴかぴかで張りもあって、素晴らしい出来でした。
そしてもうひとつ。ゴーリキさんは端枠のほうが良い馬です。20年は外端枠、21年はマルミゴウカイが取り消して内端枠。できるだけ隣に馬がいないほうが良い馬なのです。気難しいところがある馬なのだと思います。1障害でアオノブラックに寄られたのももしかしたら影響があったのではないかと思います。
次は隣枠に先行する有力馬が入らないことを祈ります。それか端枠(笑)。そしてもっと重い馬場と重量。
ああもう、ゴーリキってば!!もどかしい!でも次もめげないで買います。
そして三番手に推したミノルシャープ。復調しているとはいうものの、やはりミノルシャープにもハイペースを先行して押し切るまでのスタミナは無かったということだと思います。今回先行して早目に第二障害にかかった馬で、上位入着しているのはアオノブラックとキタノユウジロウです。ユウジロウは最後の最後で詰まってゴールデンフウジンに差されてしまいましたが、これは第二障害で膝付いた分かな…と思います。完全復調ではないという話でしたが、この重量になってくればやはり強いです。
2着に来たゴールデンフウジンは帯広記念4着、ばんえい記念も完走7着。重量に対応できる馬なのですよね。今期の重賞で良績がなかったので、データ的には買えない馬でしたが…。来年は別のデータ探します(笑)。ただ、赤塚騎手は第二障害下で本当にじっくりじっくり息をいれました。たっぷり溜めて末脚にかけた騎乗は赤塚騎手のファインプレーだったと思います。十分息を入れたので、止まらずに障害を上がれたし、下りて止まってからも立て直せたのだと思います。
そしてコマサンブラック。本当に強くなりました。この馬もゴールデンフウジン同様、前半ゆっくり追走して、しっかり溜めて第二障害にかかりました。おかげで止まらずに第二障害をクリア。最後詰まった分はまだもう少し、歴戦の古馬に及ばなかった点だと思います。でもこれで帯広記念が楽しみになりました。