2024年度重賞戦記 2/9 黒ユリ賞

過去10年の「人気」「騎手」「馬番」
ピックアップデータは「前走クラス」「馬体重」
■人気別成績【1着.2着.3着.着外】
1番人気【5.0.2.3】
2番人気【2.3.0.5】
3番人気【1.1.3.5】
4番人気【0.0.2.8】
5番人気【0.0.2.8】
6番人気【1.2.1.6】
7番人気【0.1.0.9】
8番人気【0.0.1.9】
9番人気【1.1.0.8】←1着’17 キタノミサキ 2着’18 アフロディーテ
10番人気【0.0.1.9】
まだ若い牝馬が一気に100㎏近く曳く重量が増えるので、それまでの実績を鵜呑みにできないところがあり、上位人気の入着率も今一つ、9番人気からも連対馬が出ていて最低人気からも馬券圏内入着馬がでている…荒れる印象が強い重賞なのですが…実は直近4年は1番人気が人気に応えて勝っています。今年の一番人気はサッコになりそうですが、この流れに乗れるでしょうか?
■騎手:3着以上入着が3回以上の騎手をピックアップしてみました。
騎手名 :【1着.2着.3着.着外】
鈴木騎手 :【2.2.1.5】
藤野騎手 :【2.0.2.3】
西謙一騎手:【1.2.0.5】
藤本騎手 :【1.1.1.7】
鈴木騎手は過去10年、このレース皆勤賞で馬券圏内入着率は5割と好成績。今年はホクセイマリンの手綱をとります。また2勝している藤野騎手はアバシリアグリの手綱を取ります。
■馬番:馬券圏内に入着した回数を馬番ごとに記載します
着/馬番 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1着 | 1 | 2 | 0 | 0 | 2 | 2 | 1 | 0 | 0 | 2 |
2着 | 1 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 1 | 2 | 2 | 0 |
3着 | 0 | 4 | 2 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 |
世代重賞は賞金上位順10頭、回避があれば繰り上げがあるので、だいたいフルゲートになります。2番が良績です。今年は2番にマツサンブラックが入りました。重い斤量と若駒という事を考えると端枠はあまり成績は良くないのでは?と思っていたのですが内外両端枠からも勝ち馬が出ており、端枠と中枠の差はなさそうです。
■前走条件:【1着.2着.3着.着外】
3歳Aー1【7.2.4.18】
3歳Aー2【0.4.2.25】
3歳Aー3【3.1.3.12】
3歳Aー4【0.0.0.1】
3歳Bー1【0.0.1.8】
3歳Bー2【0.0.0.3】
3歳Bー3【0.0.0.1】
3歳Bー4【0.0.0.1】
3歳Cー1【0.0.0.3】
やはり勝ち馬は格上のA-1からが一番多いのですが、意外なのはA-2よりもA-3の方から勝ち馬が出ている事。A-2とA-3ではほとんど力量差が無いのだと思います。
今年の出走馬は全てA-1~3クラスからなので、あまりこのフィルターは役に立ちませんでした…すみません。
■馬体重
馬体重㎏【1着.2着.3着.着外】
1000以上【4.1.3.10】
975~999【2.3.1.15】
950~974【1.2.0.13】
925~949【2.0.3.16】
900~924【0.3.3.10】
899以下 【1.1.0.6】
最軽量勝ち馬:キタノミサキ892㎏ 最軽量連対馬(2着)ダイヤカツヒメ887㎏
最重量勝ち馬:ジェイカトレア1053㎏ 最重量連対馬(2着)ハイトップフーガ1068㎏
やはり1000㎏越えの方が良績を残しています。前走馬体重で今年出走した馬の中で最高重量はホクセイヒラリの1016㎏。次いでサッコの1006㎏。1000㎏越えはこの2頭ですが、マツサンブラック、ウンカイマジックが998㎏とほぼ1000㎏でした。
■おまけ 近三走成績
過去10年の3着以内入着馬30頭の直近3走の成績で、3着以内に入着がある馬が25頭(クラス不問)。ここに出走してくる馬なので多くが該当しますが、それでも直近3走のうち、どこかで上位入着がある馬から馬券を検討したほうが良さそうです。なお、前3走で3着以上が無い馬で、勝った馬が2頭(エンゼルフクヒメ、ブルーオーシャン)いますが、これはA-1クラスの出走で、黒ユリ賞までに5勝以上の勝ち鞍がありました。
今年は前走A-1クラス馬が3頭、A-2クラスが6頭、A-3クラスが1頭と格付けは粒がそろった印象です。明け3歳の牝馬が未知の重量を曳く…ということで、あまりフィルターらしいフィルターが無いのです…よく使う新馬戦も、実は牝馬はあまり関係性が見いだせなかったりします。
・前走A-1で5勝以上、または前3走中3着以上の入着がある
ということでとりあえず絞ってみるとパワフルクイーン、アバシリアグリ、ホクセイヒラリ、ホクセイマリン、サッコ、ウンカイマジック
あと、データには書きませんでしたが、勝ち馬の黒ユリ賞までの勝ち鞍数はキタノミサキが最少で3勝、最多はミスタカシマの7勝でした。(だいたい4~5勝が多いです)ということで、最低3勝はしていて欲しい。いやもう…これはデータになるのかどうか…全頭の勝ち数から割出していないので気休め的な感じです…。
サッコが5勝で勝ち頭。アバシリアグリが4勝でウンカイマジックが3勝。3勝以上はこの3頭でした。ただ、アバシリアグリは勝ち鞍も多いのですが競走中止も4回あって…判断に迷います。ということで(どういう事で?!?!)もうあるんだかないんだかわからないようなデータから◎はサッコ。〇はウンカイマジックです。2頭とも馬体重も1000㎏前後あるので、馬格的にも好条件です。また、ウンカイマジックはサッコとともにナナカマド賞にも出走しており、3走前のA-2ではサッコにも翔雲賞を勝ったスターイチバンにも先着しての2着でした(1着はアルイテイコウ)馬券的にはこの2頭軸から手広く流す感じでしょうか…。
…すみません、黒ユリ賞はチャンピオンズカップやドリームエイジカップと並び、まったくデータが役に立たない重賞です……。朝の情報番組の本日の星座占いくらいの精度です。ただ、サッコはこのメンバーでは勝ち頭の5勝。昨年のスマイルカナに続いて鈴木邦厩舎が連覇をしてくれるんじゃないかと期待しています。
レースレビュー
この日は良く1枠が来ていたなぁ…という印象がありました。振り返って全レースの1枠の成績を確認してみると【6.3.0.3】。この要因なんですが…この日は風が強く吹いていて、黒ユリ賞でも「ー2度の強い風が吹き抜けます」とレース前に実況があります。この風が内枠の馬場を軽くしているのだそうです。冬場の風が強い日は内端枠が有利になるのだとか。中継で定政さんが冬期限定で風と内枠との関連について良く解説しているそうなので聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。すみません…実はこれ、また聞きなんです。私は降雪と除雪の影響があったのかな?と漠然と思っていたら、詳しい方にご指摘を受けました。どういうロジックで風が強く吹くと1枠が軽くなるのか、定政さん解説を直接聞いたことがある方いらっしゃったら教えていただけたら幸いです。冬場の中継を全部見直す気力はさすがに無く(^_^;…。でも「今日はそれほど風が強くないから、枠の差は無いと思います」と10日の解説ではちらっと話ていましたし、10日の1枠の成績は【2.1.1.8】。なるほど、ばんえい競馬は天気に左右される競馬だとは思っていましたが、季節に吹く風までも大事なファクターなんだな…と実感しました。
ということで、黒ユリ賞。1番のパワフルクイーンの行き脚がやはりよく見えました。そしてほぼ同じ位置取りでホクセイヒラリ。渡来騎手は本当に積極果敢な先行を良くします。ホクセイヒラリも先行して粘りこむ脚質なので初騎乗ながら相性が良かったと思います。そしてホクセイヒラリは障害がとても上手な馬です。先行した分しっかり坂下で溜めて、徒歩で障害にかかってしっかり歩いてスムーズに障害を下りてきました。これが最後の一伸びにつながったと思います。こういう先行して歩き粘るタイプは、最後こぞって消耗戦になるようなレース向きです。
そう、黒ユリ賞は2.5%という水分量とは裏腹に、前半66秒(勝ちタイムは2.22.7)と時計のかかる重い馬場でした。ちなみに、昨年と一昨年と比較をしてみると、昨年とは1.7%で68秒(1.52.4)、一昨年は2.0%で40秒(1.35.0)。昨年と前半タイムが近しいのに、勝ちタイムに大きな差があるのは、馬場の割に前半のペースが速く、最後どの馬も脚色一杯になっていた…ということです。数字を出すまでもなく、映像を見ると、最後ばて合いの中何が抜け出すか?というようなレース展開でした。ホクセイヒラリは障害でのロスが他馬より少なかったので最後のひと踏ん張りが効いたんじゃないかと思います。
そしてそのハイペースを作り出したもう一頭は1枠のパワフルクイーン(4着)。当日の1枠の利を最大限に生かした先行だったと思います。
2着はウンカイマジック。障害のてっぺんで止まった時は、ダメかな?と思ったのですが見事な二の腰で、降りてから素晴らしい脚でした。前半ゆっくり溜めながら行けたことがこの馬にとっては良かったのだと思います。もしも第2障害を止まらずに越えられていたら、勝っていたのはこの馬だったかもしれません。
3着はキョウエイカスミ。ここ数戦上位入着はありませんでしたが、白菊賞1着、いちい賞2着と牝馬特別で常に勝ち負けをしてきた馬です。やはり定量戦ならば…という所だと思います。
1番人気だったサッコは坂を下りて一旦先頭に出ようかという所で止まりました。サッコとキョウエイカスミ両方とも第2障害をスムーズに抜けられなかったように見えました。ゴール前の消耗戦、第2障害で体力をロスした分、詰まってしまったのだと思います。
結局この黒ユリ賞は一番障害を上手に越えてきた馬が勝ったように見えました。重馬場のハイペースという条件でのバテ合い。1~6着までの力差はほとんど無いように思います。違う馬場や展開だとがらりと着順が変わりそうで、これからの牝馬世代戦が楽しみです。