トップホースの父系を追う ~メムロボブサップのサイアーライン Vol.4~

 華旭は名馬ナリタボブサップを送りました。ナリタボブサップの活躍は皆様もご存じの通り!そして我らがスーパーホース、メムロボブサップが誕生します。ウルバンから続くメムロボブサップのサイアーヒストリー最終章です。

ようやく系図の最後に到達です。
お付き合いくださいまして
ありがとうございます!

現代の名馬 ナリタボブサップ

  タイソンの次はボブ・サップ。ウルバンの系譜に連なる活躍馬には「ヘビー級」の名前が付くようです。そしてその名にたがわず、1200㎏超の雄大な馬体を誇りました。

 ナリタボブサップは最近の馬…という印象があります。実はナリタボブサップのラストランが私の初のばんえい記念観戦です。初めて行ったばんえい記念、周りの人達に連れられて行った前夜の飲み会で、ナリタボブサップが如何に障害が上手いか、ばんえい記念で第二障害を一腰で越えた話を熱く語られた事をよく覚えています。まだ私が、一腰(一度も止めずに第二障害を上がること)の意味も、1㌧を一腰で上げる凄さもわからなかった頃のことです。といっても大昔ではありません。実は私もそれほどばんえい競馬歴は長くないのです。 

 ナリタボブサップは現代の名馬。紹介されているネット上の情報も多々ありますので、馬自身の紹介は動画や記事に譲りたいと思います。動画、記事、どれを見ても読んでも、ナリタボブサップってすごい馬だったんだな…と思います。

ナリタボブサップリンク集

■紹介動画
ばんえい記念直前企画!第3弾 ナリタボブサップ
ナリタボブサップ ばんえい競馬 名馬紹介
【歴代ばんえい最強馬ファン投票】#18 ナリタボブサップ(2008年帯広記念

■紹介記事
ナリタボブサップのひみつ。
そしてちょっと変わったところでは現役時代の一コマ
可愛いですよね。武潮、華旭とはちょっと異なる性格のようです。
余談ですが、ばんえい十勝のサイト内検索で「ナリタボブサップ」と入れると
昔の様々な話題(リンク先のような)が出てきます。これがとっても面白いのです。
お茶請けに最適です。ぜひコーヒー片手に楽しんでみてください。

ばんば牧場便り【 Vol.021 】ナリタボブサップがいる音更町・赤間牧場
種雄馬になってからのナリタボブサップの様子が紹介されています。

ばんえい競馬低迷期の産駒が大活躍
地方競馬とばんえい競馬のオーソリティ、斉藤修氏のコラムです。

重種馬名鑑
また、活躍馬&種雄馬の血統情報やデータならばこのサイト「私設ばんえい競馬資料館 重種馬血統研究室」こちらの重種馬名鑑にももちろんナリタボブサップが掲載されていますのでご参照ください。(リンク先は名鑑のインデックスです)

種雄馬 ナリタボブサップ

ナリタボブサップの種雄馬成績。
これは23年8月27日現在。今後まだ変わる数字ですので、目安程度にご覧ください。種雄馬としての成績をもっと詳しく知りたい方は、先のリンク集で紹介した重種馬名鑑に詳細がありますのでぜひ閲覧いただけたらと思います。ここでは、ほぼ一子相伝の父系からの飛躍を感じ取っていただければと思います。また、日本馬事協会発行の「平成25年種雄馬名簿」に供用初年度のナリタボブサップの写真が掲載されていましたので、許可を得て転載いたします。メムロボブサップとの立写真と比較をしてみてください。

2013年から供用開始。産駒は9世代。
血統登録馬数:186
繁殖牝馬登録数:32
種雄馬登録数:
(ホクショウゼウス・サダノフィーバー、ローランスター)

リーディングサイアー獲得2回
令和3年度(2021年4月~2022年3月)3歳以上
令和4年度(2022年4月~2023年3月)3歳以上

主な産駒
メムロボブサップ(ばんえい記念・天馬賞・ばんえいダービー・イレネー記念他)
シンエイボブ(カーネーションカップ・ばんえいオークス2着)
オールラウンダー(170戦24勝 天馬賞4着)
トワトラナノココロ(92戦18勝 イレネー記念2着)
スイ(52戦13勝 ばんえいオークス2着)
サクラシュンカ(78戦11勝 ばんえいオークス3着)
キタノボブサップ(103戦16勝 ばんえい菊花賞3着)他

ナリタボブサップ
(日本馬事協会発行:平成25年 種雄馬名簿より転載)
※無断使用は厳禁です。よろしくお願いいたします。
メムロボブサップ
(撮影2023年3月上旬)
※無断使用は厳禁です。よろしくお願いいたします。

現役最強馬、メムロボブサップ

 そしてナリタボブサップからメムロボブサップが誕生します。昨年度のばんえい記念時に撮影された馬具のついていない立ち写真をお借りすることができました。ここではメムロボブサップの立写真と5代血統表を眺めた雑感を書いてこの記事を終えたいと思います。

メムロボブサップの5代血統表

父母祖父母三代父母4代父母5代父母
ナリタボブサップ
【半】2002 黒鹿
華旭
【半】1993 黒鹿
平美
【ペル】1986 青
武潮
【ペル】1982 青
孟潮
【ペル】1978 青
ヌヴェ(仏)
【ペル】1979 青
姫碩
【ペル】1981 芦
楓石
【ペル】1968 芦
明久
【ペル】1968 青
第一旭姫
【半】1985 鹿
カツエイ
【半】1972 鹿
カチサカエ
【半】1957 栗

【半】生年不明 青
旭姫
【半】1980 黒鹿
【ペル】キリン
1972 青
花姫
【半】1970 黒鹿
龍姫
【半】1995 鹿
スーパージャンデイ
【半】1984 栗
ジアンデユマレイ(米)
【べ】1971 栗
サニーフアーサー
【ベ】1953 栗
マーキゼツトシユープレムドフアーサー
【べ】1956 栗

【半】1977 栃栗
タカラコマ
【半】1968 鹿
豊勝
【半】生年毛色 不明
共和姫
【半】1991 鹿
シゲノハラニセイ
【半】1979 黒鹿
二世ロッシーニ
【ペル】1966 青
【ブ】日光
1964 栃栗
バービークイン
【半】1986 鹿
マジン
【半】1972 鹿
恵進
【半】1972 鹿
ピュアレディ
【半】2007 鹿
アキバオーショウ
【半】1992 栗
アオヤマトップ
【半】1978 栃栗
マルゼンストロングホース(米)
【べ】1972 栗
コントリビユター
【ベ】1963 栗
ジヤネットスプレムドファルクール
【ベ】1960 栗
第一清流
【半】1972 栗
ロイヤル(仏)
【ブ】生年不明 栗
清流
【半】生年毛色 不明
梅宝
【半】1984 栗 
鉱梅
【ブ】1976 栗
銅庭
【ブ】1968 栗
桃数
【ブ】1970 栗
宝姫
【半】1978 栗
タカラコマ
【半】1968 鹿
万博
【ブ系】生年毛色 不明 
竹四顕姫
【半】2000 鹿
テンショウリ
【半】1984 鹿
キタノテンリュウ
【ブ系】1974 鹿
鉄鯉
【ブ】1960 鹿
恵雲
【半】生年毛色 不明
初春
【ペル】1975 青
ウルバン(仏)
【ペル】1964 青
初姫
【ペル】生年毛色 不明
タツミノルヒメ
【ペル系】1983 青
タツマキ
【ペル系】1971 青
丹西
【ペル】生年毛色 不明
第十一万山
【ペル系】毛色生年 不明
路志姫
【ペル系】1979 芦
二世ロッシーニ
【ペル】1966 青
川旦
【ペル】1969 芦
【半】半血 【ペル】ペルシュロン種 【ブ】ブルトン種 【べ】ベルジアン種 【~系】特定の品種の血量が75%以上 
5代インブリード 二世ロッシーニS5×D5 タカラコマS5×M5

 日本馬事協会のリンクでもよかったのですが、眺めながら読んでいただきたかったのであえて血統表を作ってみました。ナリタボブサップの血統表を眺めていて、ブルトンの名種雄馬「鉄鯉」、ベルジャン種の名種雄馬「マルゼンストロングホース」が入っていないな…と思っていたのです。
 ここが入ると60年代、70年代、80年代、そして、旧来のペルシュロン、マイエンネ系ペルシュロン、ブルトン、ベルジャン、全ての代表的な種雄馬が全部コンプリートされるのかな…?

というところに…

 母ピュアレディはまさに、マルゼンストロングホース系のアキバオーショウ産駒。そして母の父テンショウリは鉄鯉系。そして、アキバオーショウ母の父鉱梅は鉄鯉の孫です。
 そして、3代母のタツミノルヒメはタンブーの強いインブリードを持っています。(丹西と川旦の父はタンブーです)。孟潮と平美の紹介で、この2頭にはタンブーの血が入っていることはすでに書きました。そして母の父テンショウリには孟潮の父ウルバンの血が入っています。タンブーとウルバン、そして鉄鯉を持った、マルゼンストロングホース系種雄馬の産駒。

ナリタボブサップ×ピュアレディ…つまりメムロボブサップの血統表からは何が見えてくるのか…それはばん馬の歴史とバラエティです。

 タンブー楓朝は次回ご紹介する予定ですが、60年代終わりから80年代前半までばんえい競馬を支えた名サイアーラインです。そこにマイエンネ系のペルシュロンのウルバンが入り、ばんえい競馬最強の種雄馬二世ロッシーニが入り、ブルトンの雄、鉄鯉のが入り、半血の名種雄馬もタカラコマが入り、同じく半血のカチサカエも入り…ペルシュロンとブルトン、ベル×ブルの半血を名種雄馬を全部混ぜたら、仕上げはベルジャンの名種雄馬ジャンデユマレイマルゼンストロングホース…。まさにこんな感じの「名血全乗っけ!」な血統なのです。

 メムロボブサップは2歳から活躍してイレネー記念を勝ち、世代重賞6冠を取って、7歳でばんえい記念を制する早熟性と成長力、そして490㎏の疾風賞を勝つスピードを持ち、1000㎏のばんえい記念を勝つパワーを持つワンダーホースです。ばんえい競走馬の理想の全てを具現化したのは、あらゆる名血が集まったことも理由の一つだと言えるのではないでしょうか。



参考資料
日本馬事協会 登録馬情報サイト 
・日本競馬の歩み<資料編>田島芳郎 著
 2009年 ㈱サラブレッド血統センター発行
・北海道種雄馬名鑑 思い出の名馬三十年史
・令和元年からの種雄馬リーディングについてはばんえい十勝サイトを参照

写真提供
ナリタボブサップ立写真 日本馬事協会
メムロボブサップ立写真 ばんえい十勝
いずれも無断使用は厳禁です。
なお、メムロボブサップの写真についてのお問い合わせはばんえい十勝までお願いいたします

また、Vol.3同様、調べものや掲載情報について、可能な限り努力はしておりますが、抜けや誤りがあった場合はお問い合わせフォームからご指摘いただけますと幸いです。ご容赦とご協力をよろしくお願いいたします。