ばん馬こぼれ話 Vol.4 そのスピード、職人技!
パドックを彩る華
たてがみの編み込みと飾り
ばんえい競馬のパドックを見ていると、美しく飾ったたてがみに感動します。きれいに編み込まれ、色とりどりのシュシュやリボンに飾られた姿はパドックの華です。公式サイトの「ばん馬通信」でも、たびたびかわいらしいたてがみ飾りを紹介しています。
重賞レースともなると、気合を入れたオシャレをしてパドックに登場します。今年のばんえい記念ではキンツルモリウチ号がそれはそれはキレイな飾りをつけて登場して、観戦者の目を楽しませてくれました。
たてがみ飾りは厩務員さんの自作や購入品ですが、ファンの方からの差し入れもあります。つける、つけないは調教師さんの判断なので、送ったら必ずつけてもらえるというわけではありませんが、状況が許せば、シュシュやリボン、お守りなどファンの贈り物をつけて出走してくれることもあります。ばんえい十勝広報に問い合わせたところ、下記の要領で送れるそうです。
送り先:「帯広競馬場 〇〇厩舎さま」で届くそうです。
注意事項:【素材等】キラキラ光りすぎないもの 【その他】コースに絶対に落ちないもの
※追記ですがいろいろな飾りを見ていると、軽くて丈夫で洗えるものがいいようです。フェルトで作った飾りや毛糸の飾り編みのお花などをよく見かけます。
実は、私もお守りなら送ったことがあります。大好きだったライデンティダ宛にです。レースの際、厩舎の方が頭絡につけてくださっていました。パドック映像で発見したときは嬉しくて思わず声があがりました。ダイレクトに応援している感覚が味わえるのもばんえい競馬のすばらしさだと思います。
必見!今井厩舎と中島厩舎の馬たち
まったくの独断ですが、最も見応えのある華麗な飾りを施していると私が注目しているのが今井厩舎、中島厩舎の2厩舎です。今井厩舎はアイドルホースブチオや先に登場したキンツルモリウチ、重賞ウイナーではピュアリーナナセやサクラヒメなどがいる厩舎、中島厩舎はイラストに描いたフジダイビクトリー、現在のオープン馬にはイレネー記念を制したオーシャンウィナーがいます。
出走馬全頭ではないと思いますが、今井厩舎では調教師のお嬢さん(厩務員さんです)が、中島厩舎は調教師の奥様が編み込みや飾りをされています。「キレイ!」「かわいい!」に関してはお二人のセンスが群を抜いています。
公式サイトのばん馬通信で、ブチオの手入れと編み込み作業がほぼノーカットで動画配信されていました。その手際のいいこと!見入ってしまいます。その様子を下記リンクからぜひご覧いただければと思います。(ぶ~ちゃん、かわいいです)
https://www.youtube.com/watch?v=9J-9-ORIaK8
見ていて本当に感心したのがその編み込みのスピード!レース前の馬のたてがみに、あまり時間をかけては馬にも負担がかかるだろうし、そもそもほかにもたくさん仕事もあるだろうし…飾りに時間を割くわけにはいかないのに、どうしているんだろう?と思っていましたが、サクサク編んでいく姿が素晴らしいです。動画を見ながら時間を計ってみたところ、だいたい12~13分くらいで編みあがっています。飾りをつける時間を含めても15分程度で完成。
なぜこんなに感動しているかというと、私も2~3回ですが馬のたてがみを編んだことがあるんです。ビギナー馬術競技に出場したとき、相棒になってくれた馬のたてがみを編んだのです(馬術の場合は三つ編みにして団子をポコポコと作ります)……が……これがも~~~~!!! 不器用なもので本当に馬にはごめんなさい!と平謝りのするくらい時間がかかった上に酷い出来映え…。つまり慣れない人が編むと、絶対にこんなスピードでは編めないということです。まさに職人!本当に恐れ入ります。
私的過去No.1!ベストドレッサー賞は
フジダイビクトリーのラストラン
コラム冒頭のイラストはフジダイビクトリーのラストラン、2019年のばんえい記念時のたてがみ飾りを描いたものです。華麗かつ軽やかな飾り。ばんえい記念は出走各馬、きれいに飾られていますが、中でも19年のフジダイビクトリーのばんえい記念は圧巻でした。本当に色、バランス、デザイン、華やかで綺麗でした。そして華やかだけど、軽そうで馬の邪魔になっていない。機能性も兼ね備えていました。
というのも、この後フジダイビクトリーは引退式があり、この引退式では「お色直し」をして登場。今度はレースに関係ないので、盛りっ盛りです!本当にゴージャスの一言。フジダイビクトリー、厩舎スタッフの愛情を一身に受けての現役最後の晴れ舞台でした。
フジダイビクトリー産駒は今年2歳デビュー。産駒たちもいつか父の様に綺麗にたてがみを編んで飾ってもらい重賞に臨む日が来るといいな…と思っています。