令和4年度の第1回能力検査を振りかえって

 ばんえい記念とならんでばんえい関係者やファンの間で「お祭り」なのが年度初めの1回目の「能力検査」。今年は先週日曜日の4月17日に行われました。
知人にはばんえい記念は行けなくともこれだけは毎年見に行く!というマニアもいます。
なぜなら第1回目の能力検査は、新馬が一斉に登録出走します。新たなばんえい競走馬が生まれるイベントであり、世代戦のスタートとなるからです。新馬達は入厩後、この試験をパスすることをまず第一の目標に調教されます。
 レースは1日20レースと、早朝からガンガン走ります。そして毎レース緊張の連続です。何しろ2歳の新馬達は競馬場の本走路を走るのは初めてで、よれる止まるの連続でハラハラドキドキ。難関の第二障害は重賞レースより声援に力がはいります。最後の直線も止まりそうで気を抜けません。重量は480㎏(牝馬はー20㎏)。ばんえい競馬でスピード戦といわれる「軽重量」といわれる500㎏より軽い。それでも2歳馬達にとっては重たい。能検は完走できない馬も多数出ます。まずは完走!という点ではばんえい記念に通じるものがあります。(検査は年度内に10回以上あり何度もチャレンジできますのでご安心を。騎手も若駒に嫌な経験をさせると後が続かないので必要以上の無理はさせません)
 そして第1回の能検で好時計を出した馬は注目を浴びます。一番時計はサイトでも騎手と調教師のコメント付きで紹介されるほどです。2~3歳の世代戦の間は「能検の1番時計」の金看板は輝き続けます。
近年の1番時計馬の成績を見てもアルジャンノオーは2歳重賞勝ちましたし、キョウエイリュウは重賞2勝を含め、デビュー10連勝をしました。2歳戦の重要な予想ファクターにもなります。
 ばんえい十勝の公式サイトには、今年の結果と動画が掲示されているのでぜひ見てください。頑張る若駒たちを応援したくなります。ここでこれからの「推し馬」を見つける楽しみもあります。

今年は厳しかった第1回能力検査

 今年は走路の砂をしっかり入れ替えた直後で、その上0.8%のぱさぱさ馬場。
砂目も荒く馬場も柔らかく、乾いた重たい馬場で、特に午前中の馬はとてもしんどかったことと思います。一番時計が昨年、一昨年に比べ各段に遅く、3分切った馬のなかに牝馬が3頭しかいないことにも「重さ」が表れています。
 だからこそ、今年の一番時計をはじめ、上位の馬には価値があると思います。ここをいい成績で突破できた馬はまずイレネー記念までは良い勝負をしてくれるはずです。

年度
馬場水分量
令和4
0.8%
令和3
3.0%
令和2
2.2%
平成31
1.6%
出走頭数161173156178
合格頭数631127172
合格率39.1%64.7%45.5%40.4%
1番時計2.23.8
コーワホープ
1.52.5
グリフィス
2.10.4
アルジャンノオー
2.10.4
キョウエイリュウ
令和2年から3年連続「レットダイヤ」産駒が1番時計。仕上がり早の種牡馬として覚えておいて損はないかも。

ばん馬の早熟性と将来性 

 サラブレッドでも「早熟」「晩成」があるように、ばん馬にも成長の個体差があります。成長スピードの個体差は、成長期間が長い分サラブレッドよりも大きいかもしれません。今、500キロ前後を曳いて強い馬が、将来古馬重賞で活躍できるか?というと必ずしもそうではありません。今より四半世紀程前には品種の差による成熟の違いが大きくて「イレネー記念を勝つ馬とばんえい記念を勝つ馬は別」と言われていました。キタノタイショウセンゴクエースホクショウマサルなど、イレネー記念を勝ち、かつ古馬でも活躍する馬が出現してきたのは比較的最近のことです。
 これは重種の交雑が進んで、ばん馬の品種登録が「半血」から「日輓種(日本輓系種)」に変わった平成15年(2003年)以降の事象だと私は考えています。ばんえい競走に特化した馬として、早熟で大型化する品種に改良されてきた成果だと思うのです。サラブレッドを見てもダービーという3歳世代の頂点を競う特殊なレースを創出し、それに合わせて早熟化が進みました。「早熟化」というのは競走馬にとって必須の改良ポイントなのです。競技内容は違えども、レースは2歳から行われるわけで、早くに多くの賞金を獲得したいという流れは、サラブレッドでもばん馬でも変わりはありません。
 第1回能検の上位突破は、イレネー記念を頂点とした2世代の重賞路線に乗るエリートコースの切符を手にするという意味合いがあると思います。サラブレッド競馬で言うところの、2歳秋までに新馬勝ちをして、朝日杯やホープフルSの挑戦権を得た…といったイメージでしょうか。

今年のタイム上位20頭と血統からの注目馬

 公式サイトの結果からタイム上位順に並べて、兄弟や近親に活躍馬がいる馬も記載してみました。トップタイムの馬は、能力もさることながら1月生まれで成長が早いという点も加味していいかな?と思います。いつ生まれ?ということも参考になるかも…と生月日も併せて記載しました。
あの馬の兄弟だ!とか子供だ!というのも競馬を見る楽しみの一つなので、参考にしてもらえたらと思います。

順位タイム馬名
性別・毛色・生月日

母(母の父)
近親・兄弟の主な重賞成績
(父馬)
12:23.8コーワホープ 牡 鹿毛 1/28
レッドダイヤ
葵(ミントヒーロー)
22:24.0ジェイホース 牡 青毛 4/3
キタノオーロラ
サンノハルミ(ダイヤキンショウ)
半兄フレイムゴールド(コトノカツマ):ヤングチャンピオンシップ5着
全兄ジェイホースワン:ナナカマド賞5着
32:31.1タカラテンザン 牡 鹿毛 4/9
タケノヒーロー
ニシキセンヒメ(センショウリ)
半兄ホクショウメジャー(シュンライズ):ナナカマド賞勝ち
42:31.6ホクセイスーパー 牡 鹿毛 4/20
テンカムソウ
ショウエイガール(ナリタボブサップ)
52:32.0ココロホマレ 牝 青毛 3/26
カネサブラック
マゴコロ(グレイトジャイナー)
母は黒百合賞2着、ばんえいオークス3着
62:32.7キョウエイプラチナ 牡 栗毛 4/2
カネサテンリュウ
風連(グレイトアマゾン)
全兄キョウエイリュウ:ばんえいダービー、天馬賞勝ち
72:35.1ゴールドキング 牡 鹿毛 3/28
ナリタボブサップ
ラヴァー(キタノドリーマー)
82:35.5ホクセイイサム 牡 栗毛 1/18
アサヒセンショウ
イクミファイター(ブレーブファイター)
92:36.0アシュラダイマオー 牡 栗毛 4/15
インフィニティー
天空(オーゴンキング)
102:37.8タイヨウ 牡 青毛 4/11
アアモンドヤマト
イルマルビリーヴ(ニシキダイジン)
半兄ブラックサファイア(カネサブラック):ヤングチャンピオンシップ2着、ばんえい大賞典3着
112:37.9コーワノウンカイ 牡 鹿毛 3/22
ツガルノウンカイ
藤姫(ツルマキシンザン)
122:39.4フジセンプー 牡 鹿毛 4/27
マルニセンプー
アット(サンデーブライアン)
132:41.3リアステンリュウ 牡 青毛 2/1
ホンベツイチバン
ジュンチャン(ホクショウファイト)
おじカネサダイマオー:イレネー記念
母のおじマルミシュンキ:イレネー記念、天馬賞勝ち
母のいとこマルミゴウカイ:ばんえいダービー、天馬賞、岩見沢記念勝ち
142:41.5ローランド 牡 鹿毛 3/18
インフィニティー
ヒカルチャンス(クシロミノル)
半姉イオン(カネサブラック):黒ユリ賞、ばんえい大賞典勝ち
152:45.3イワキタイガ 牡 鹿毛 3/12
アアモンドヤマト
花姫(ウンカイ)
162:45.5ニシキプライド 牡 鹿毛 4/25
ダイヤミラクル
タカラハヤヒメ(ヤマトゼンシ)
母はばんえいオークス勝ち
172:48.4ベニサクラ 牝 鹿毛 4/24
インフィニティー
サカノベニバラ(サンデーブライアン)
182:51.2スターフェニックス 牡 栗 3/25
スギノハリアー
ハイカラサン(ユミタロウ)
母は黒百合賞勝ち
おじオイドン:ばんえいダービー、天馬賞、岩見沢記念勝ち
192:52.2コーワレックス 牡 鹿毛 5/14
レッドダイヤ
ネムロブラック(ロイヤルタイトル)
半姉ヒノデイチゴヒメ(タケノタイトル):クインカップ5着
202:55.8ツガルノモツケ 牡 栗 3/2
ワールドピサ
メオトスギ(タワノダイオー)
個人調べなので抜け、ミスがあったらごめんなさい。先に謝っておきます(m__m)

ばん馬の血統を調べるには? 

 サラブレッドならネット競馬やJBISサーチといった素晴らしい検索サイトがあります。馬名をグーグルで打つだけでもすぐに五代血統表を検索できますが、いざ、ばん馬の血統を詳しく調べようとすると、どこを探していいものか…実はばん馬もちゃんと5代血統表や牝系が確認できる資料があります。
「日本馬事協会」の公式サイトです。サラブレッド競走馬以外の「馬」の登録情報をすべて網羅している優れモノです(下記は検索ページのリンク)。

https://www.bajikyo.or.jp/renkei.php

 ここで5代血統表、母方兄弟、父方兄弟などの血統情報や、競走馬として登録があれば、NARの競走馬データページにリンクがあり、成績もたどることができます。このサイトとNARのデータページの合わせ技で、サラブレッドのJBISサーチとほぼ同じ機能を手にすることができます。私が上記の表を作ったのも、このサイトで調べたものです。大好きな馬の5代血統表や兄弟をたどってみたい方は、ぜひ活用してお楽しみください。血統登録名と競走馬名は異なるので、「他団体情報」で競走馬名を打ち込んで検索してくださいね。よほどのマニアかオールドファンでなければ、わかんない馬だらけ~!となること請け合いです(笑)
 とはいえ、ばん馬にも主流の血脈があることに気づかれると思います。第1回能力検査上位20傑の5代血統表を眺めていると必ず出てくる種牡馬たち。5代までにインブリードがたくさんあります。二世ロッシーニジャンデマレイマルゼンストロングホース鉄鯉(てつり)、タカラコマ…いずれこれらの馬の資料を集めてご紹介できればいいなと思っています。