2025年重賞戦記 ばんえい大賞典

ジワリと抜け出して勝ち切りました。
強かったなぁ!
応援していたスーパーシンはあと一息。
実は、スターイチバン、
今まで書いて来た馬の中で目元とか鼻面とか
誰かに似ているなぁ…
と思ったら…インフィニティー!
お父さんによく似ているんです。
おお!血統ってあるんだなぁ!と実感しました。

 三つ巴って馬券的にも楽しめますよね。3頭強い馬がいるというのは、世代的にすごく盛り上がる図式なんではないだろうか…と個人的に思っています。

 ちょっと古い話をすると、ばんえい競馬で体験した世代3強は「オイドン、ニュータカラコマ、フジダイビクトリー」。この3頭は4歳の三冠をそれぞれ分け合って取っています。私が初めて見に行ったばんえい記念の日、明け4歳の若草特別に出ていたニュータカラコマ、オイドンを見ました。当時まったくばんえい競馬を知らない私に、一緒に観戦していた師匠が、「この2頭とあとフジダイビクトリーという馬がこの世代で強くて、この3頭を知っていると4歳の重賞が楽しめるよ」と教えてくれたのでした。

 話は今年の3歳三強に戻りまして…。すでに2歳の重賞を3頭で分け合い、迎えた3歳の重賞戦線の1冠目のばんえい大賞典。2.1%と水分量だけなら軽めの馬場でしたが、速すぎるという馬場ではなく、終わってみると1分50秒台後半。例年より気持ち早目の決着かな?というタイム。この馬場を速いペースで先行したアバシリタカラコマは2障害を一回で上り切れませんでした。アバシリタカラコマは先に障害にかかっている分、同じく先行したウンカイダイマオーと差のない2番手で先に降りてはいますが、下りてから歩けませんでした。やはり坂道で障害を一度止めて再発進というのは、すさまじく労力がかかるものなので、極力1回のチャレンジで障害を上げ切ることが、斤量の重い重賞で勝つための必須条件だと思います。(特にパワーとスタミナが足りない若駒や牝馬の場合)

 一呼吸置いてほぼ同時に降りたスターイチバンとキョウエイエース、そこからさらに一呼吸遅れてスーパーシン。スーパーシンは溜めただけあって、下りてからの切れ味は抜群だったんですけど…最後の最後で詰まりました。藤野騎手はゴール前、前を歩く馬に届くギリギリで仕掛けているので、あれ以上は坂下で溜められないし、ベストな競馬だったと思います。スーパーシン自体詰まった直後に立て直せているので、どうもあと1歩も出ないほど体力を消耗した…というより、ちょっと気性の幼さ(我慢の利かなさ)が出たのかなと思いました。ばん馬はフィジカルも大事だけど心も大事。人の指示に従う、最後のひと踏ん張りを我慢する、苦しくても坂から逃げない(ヨレない)。まだ、今のスーパーシンにはあと少しを我慢する精神力と、それを支えるスタミナが上位2頭に比べると備わっていないのだと思います。ただ、成長すれば…能力は一級品だと思いますので、大きなところを獲れると思っています。

 キョウエイエースは同斤量でレースしていればどうだったでしょう。あの歩きぶりだったら、勝てていたかもしれません。ばんえい競馬の世代重賞は3冠と謳われながらも、天馬賞以外は別定戦という名のハンデ戦なので、なかなか同じ条件で戦えない…ということがあります。今年みたいに力関係が拮抗していると、ちょっともどかしい。でも力量差がはっきりある年も多いので仕方がないかな…と。ただこれで、ばんえい菊花賞ではスターイチバンとキョウエイエースの斤量差が詰まります。スーパーシンとは開きますし、また違った条件で「3強」のレースを見ることになると思います。ココロノニダイメ、ウンカイダイマオーといったこの世代の上位馬もこの先どう成長してくるか楽しみです。

 3冠レース、1頭が圧勝し続ける世代もヒーローを見るようで面白いですが、私は多士済々、コロコロ勝ち馬が変わるほうが楽しいです。そしてどこかで…できれば一番大きなところで、推しの子スーパーシンが勝ってくれたら嬉しいなと思っています。
 

レース結果

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