ばんえい記念観戦記

本当にレースが終わると穏やかというかのんびりした顔になります。
それにしても今年も雪~(><)来年は晴れてほしい。
年に一度のお祭りの日、ばんえい記念はいつだって私にとって特別なレースです。見聞したいろんなことは後日レースではない帯広訪問記として書こうと思っています。何はなくともレースの話。とはいえ、写真を撮っているとあまり現地ではレースを見れていません。帰ってきてから振り返り振り返りレース映像を見ての感想戦です。
ばんえい記念
今回もパドック写真にコメントを付ける形で振り返りを書いていきます。どの馬も本当に素晴らしい馬体でした。本当にばんえい記念のパドックは眼福です。
1番 インビクタ
ご覧の通り凄い雪で、馬場水分量は発表とずいぶん違ったと思います。インビクタにとっては恵みの雪でしたが、他の馬も早々と障害下にたどり着く展開で、先行のアドバンテージは取れず。でも第二障害を一度も止まらずに上げ切ることができました。軽馬場とはいえ1㌧重量で前半1分17秒。相当早い流れでしたので、最後詰まりましたがインビクタとしてはベストのレースをしたと思います。決して高重量戦が得意な馬ではないのですが、それでも出走しているばんえい記念は3回とも完走。立派だと思います。
2番 キンツルモリウチ
残念ながら除外。見事な飾りと今井騎手の騎乗、見たかったです。
3番 コウテイ
コウテイもベストのレースをしましたが、雪が無ければ…。重い馬場でもっともっと各馬が消耗し、前半時間がかかる中で先行したかったと思います。1~3着馬とインビクタは第2障害で止まりませんでしたから、高重量の障害巧者、最後の歩き粘り勝ち…といった得意のパターンに持ち込めませんでした。それでも2着とはきわどい3着。やはり高重量戦には強い馬だと思います。
4番 メムロボブサップ
かわいいんですよね~!顔が!でも愛らしい顔に対して、馬体は幅のあるいかにもばん馬!という体格です。実は古くからばん馬の生産をされている方に、「男馬はたてがみの下の筋肉が盛り上がっている馬が走るんだよ」と教えていただいたことがあります。この首筋の筋肉は、男性ホルモンが影響して盛り上がるもので男馬独特のものです。そういう目線で見ると、メムロボブサップのたてがみの下にある首筋の筋肉は見事ですね。
レースは強かった!の一言です。第2障害を下りるのは一番手ではありませんでした。渡来騎手が冷静かつ慎重に手綱を取ったからだと思います。ゲートの出がいつもよりちょっと遅かったのは手替わりの影響だと、後ほど坂本調教師のコメントで知りました。でもここで渡来騎手は焦ることなく1障害を下りる時には先行集団について、前を行くコマサンエースの様子を伺いながらいい位置を取り、2障害下ではたっぷり溜め、あっさり障害を上げ切りました。先に坂を下った馬たちとほとんど差なく2障害を下りると、もう負ける要素はありません。降りてからの脚は他の追随を許さない。ゴール前は他馬と余裕が違いました。渡来騎手、輪っかにした右側の手綱で叩く合図は一度も送っていないんです。さらに言うとバイキらしいバイキもかけていない。軽く肘をひいてハミにGOサインの合図を送っているだけです。(バイキは馬をいったん後退させて脚を前に出させる強い追い方です)最後の直線も手綱はしゃくっていますが(しゃくるとは手綱を波打たせてハミに合図を送ることです)それもコマサンエースをかわすタイミングに少しだけ。めいっぱい追われて必死に歩いているライバルたちと比べると、その差に思わず強いなぁ!と独り言が出てしまいました。これが重い馬場だったらどうなのか…おそらくこれほど余裕ではないでしょうが、やっぱり強い勝ち方をしていたと思います。イレネー記念から始まる世代重賞を総なめにし、500㎏のスピードスター賞を勝ち、そしてばんえい記念を2勝する。本当に唯一無二の凄い馬です。
そして、渡来騎手、本当にお疲れ様でした。阿部騎手も無念でしたでしょうけど、渡来騎手にとってこの代打は本当にすさまじいプレッシャーだったと思います。無事に勝てて本当に良かった。おめでとうございます。
5番 ミノルシャープ
お尻の丸み首差しの美しさ、本当に綺麗な馬だと思います。このポンポン、引退式のと同じかな?と思って見ていました。レースは残念でしたが無事曳き切りました。最後の声援も熱く完走がいい引退のはなむけになったと思います。この馬にとっても無事に1㌧を曳き切るという事を考えるとメリットの多い雪だったと思います。
6番 コマサンエース
私的大注目の6枠!今年も人気より上位の着順に来ました。レースぶりは積極果敢!の一言です。軽い馬場になった恩恵を一番受けたのはもしかしたらこの馬かもしれません。恩恵を受けたというより、恩恵にしたと言うべきかもしれません。金田騎手は勝負師ですね。そしてそれに応えたコマサンエース。コウテイには抜かせず2着に粘り切りました。馬場状態を考え、馬の実力を信じ切った先行と、他馬に先んじての第2障害の登坂。素晴らしい騎乗でした。
7番 ダイリンファイター
実は今回のばんえい記念、心配だったことの一つにダイリンファイターが曳き切れるか?というものがありました。レース前の陣営コメントもかなり控え目…というか完走できますように…という感じでしたので。ただふたを開けてみるとしっかり先行集団にいて、真っ先に障害下にたどり着きました。障害はざんねんながら一度では上げ切りませんでしたが、2の腰、3の腰と上手く坂の中腹で歩き出し障害をクリア。最後も一度止まっただけでゴール前はしっかり歩き切っていました。もちろんタイムが2分17秒5という、1㌧らしからぬ速さの決着になった軽馬場でしたが、それでも1㌧は1㌧。それまで765㎏までしか曳いたことが無い馬がいきなり1㌧。本当にすごいです。というより、陣営は曳けそうだと判断しての出走だと思うのでその慧眼はさすがだと思います。
8番 タカラキングダム
タカラキングダムもまた、無事完走してくれるだろうか?と心配した1頭だったのですが(アアモンドグンシンが5歳の時にチャレンジして競走中止しているので…)鈴木騎手は終始この馬のペースでゆっくり追走し、決して無理することなく2障害下でたっぷり溜めて一番最後に第2障害にとりかかりました。一度で上り切ることはできませんでしたが、軽馬場でもあり、かつ息を十分入れたことで、最初のとっかかりでかなり坂を登ることができました。坂の下の方で止まってしまえば、何度かチャレンジするうちに体力を消耗して障害を登らなくなってしまうかもしれませんが、最初にここまで登っていれば。鈴木騎手の思惑通りに第2障害を越せたのではないでしょうか。雪降り馬場で助かったところもあると思います。ただ、私が驚いたのは下りてからの脚!1㌧を考えると豪脚と言っていいと思います。最後4着まであの斤量であの距離をつめて来るとは! 障害こそ注文が付きますが、末脚だけならメムロボブサップの脚色以上でした。来年、再来年と楽しみな存在です。
レース写真をペタペタと。ただ、雪がすごくて正直写真はあんまり…(^_^; いや、下手なだけなんですが。そこに自分がいた!という記録のような写真です。よろしければお付き合いください。
表彰式。本当にレースが終わるとのんびりした顔になるのは、ばんえい記念でも変わりません。このオンオフが萌えどころだし、強い馬の証なのかもしれません。