2024年度重賞戦記 11/10 クインカップ

■人気別成績【1着.2着.3着.着外】
1番人気【7.2.1.0】
2番人気【1.3.0.6】
3番人気【0.2.4.4】
4番人気【1.2.1.6】
5番人気【0.1.0.9】
6番人気【0.0.1.9】
7番人気【1.0.2.7】←1着アローリキヒメ
8番人気【0.0.0.10】
9番人気【0.0.1.9】←3着スーパードリーム
10番人気【0.0.0.9】
※9頭立て1回
 1番人気は7勝。1番人気は過去10年で一度も馬券圏外には飛んでいない固いレースです。2着~3着はやや荒れ気味ではあるものの、2着も5番人気より下位人気は入っていません。3着は6番人気以降から4頭出ているので、三連単、三連複のヒモは手広くいく方が良いかと思います。ちなみに…この7番人気のアローリキヒメ(3走前にA2-1勝ち)、9番人気のスーパードリーム(前走B1-3勝ち)は昨年のクインカップですが、この2頭は紅バラ賞で大きく負けて実績の割に人気の盲点になっていた馬でした。

 11月8日現在、ばんえい競馬の4歳牝馬は全部で41頭。この内賞金上位の10頭が出走しているのがクインカップ。1番人気の強さは、4歳のこの時期まで走っている牝馬の頭数が少なく、層が薄いので出走馬の実力差がはっきりしているということもあるのではないかと思っています。世代戦だとまだそこまでのハンデ差がつかないので実績馬がしっかり勝ち切れます。これが古牝馬の戦い、ヒロインズカップになるとクラス格差が大きくなりすぎて、700㎏後半~800㎏と牝馬には高重量の上に大きなハンデが付き、実績馬が苦戦することになります。(脱線ですが常々古牝馬BG1のヒロインズカップは定量でやって欲しいと思っています。800㎏越えで40㎏軽い相手に勝てというのはいくら何でも無茶な話だと思うんです…)

■騎手:3着以上入着が3回以上の騎手をピックアップしてみました。
騎手名  :【1着.2着.3着.着外】
藤野騎手 :【3.1.0.4】
鈴木騎手 :【2.3.1.3
阿部騎手 :【0.2.1.2】
島津騎手 :【0.0.3.2】
 藤野騎手の3勝が目立ちます。人気になるであろうスーパーチヨコには心強いパートナーです。連対数は藤野騎手を上回る鈴木騎手はミュウ、島津騎手はタカラヴェルベーヌの手綱を取ります。

馬番:馬券圏内に入着した回数を馬番ごとに記載します

着/馬番12345678910
1着
2着10
3着00
9頭立て1回   

 一番勝ち数が多いのは8番の3勝。ですが注目は4番の2着5回でしょうか。勝ち馬、3着馬も出ており、過去10年の内、7回は馬券に絡んでいる枠で、4番枠はラッキー枠と言えそうです。今年はこの馬番にスーパーチヨコが入りました。また、外端枠の1着は1番人気だったジェイカトレアのものです。

■重量
重量別の成績も取ってみました。
【1着.2着.3着.着外】
680㎏【0.0.1.12】
690㎏【5.4.6.46】
700㎏【2.2.2.9】
710㎏【1.2.1.2】
720㎏【2.2.0.0】

 今年のハンデ頭はスーパーチヨコの700㎏。今年は680㎏が4頭、690㎏が5頭、700㎏が1頭と、例年よりも全体的に10㎏軽めの重量になっています。なお、クインカップで720㎏だったのは1着がミスタカシマとサクラヒメ。2着がキサラキクとミソギホマレと世代重賞の3冠レースで勝ちや上位入着があり、古馬になっても活躍した錚々たるメンバーです。全般的にハンデの重い方が活躍している傾向があり、最軽量の連対はありません。

■前走
前走出走したレースの条件別成績です。
【1着.2着.3着.着外】
4歳牝馬OP(紅バラ賞)【4.3.0.4】
オープン(A1混合含む)【0.2.0.1】
A2【3.1.3.10】
B1【3.2.5.8】
B2【0.2.1.30】
B3【0.0.1.15】
B4【0.0.0.1】
 重量と同じ結果がここからもうかがえます。基本的にはハンデよりも実績で、勝ち馬は紅バラ賞から直行で来る馬(=世代OP戦や重賞の活躍馬)~B1クラスまで。B1クラスが活躍しているのは上のクラスの馬と実力差とハンデの兼ね合いが有利に働いているのではないかと思います。

 また、前走B2クラスからの入着馬3頭は前走勝っており、B3クラスからの3着馬は前走2着。B2~B3クラスからの出走馬は前走連対以上が条件です。

 ただ…今年はハンデ頭のスーパーチヨコが紅バラ賞、銀河賞の前にB1クラスを走っている以外、みんなB2クラスより下のクラスで走っていて、このデータから一つずつ繰り下げて考えるといいのかもしれません。(つまりB2クラスまで勝ち馬が出る可能性があり、B3、B4クラスでも前走連対していれば3着以上の可能性がある)今年の世代が例年の世代より弱いのではなく、昨年から馬場傾向が変わってパワーが要るようになって、若駒や牝馬は出世しにくくなっているのではないかな…と私は考えています。

■紅バラ賞
 紅バラ賞はクインカップの前哨戦になる4歳牝馬のオープン戦。ほぼほぼクインカップの出走馬は紅バラ賞に出走しています。紅バラ賞を3着以内に好走した馬でクインカップに出走した馬の成績を見てみると【9.4.1.15】3着入着の確率は約半分とあまりあてにはなりませんが、勝ち馬は9頭出ており、紅バラ賞の上位組から勝ち馬が出ると考えていいと思います。ちなみに例外はアローリキヒメ。ただし、アローリキヒメは紅バラ賞の前にA2-1クラスでの勝ちがありました。

■おまけ【厩舎】
 牝馬の世代戦に強い厩舎ってあるのかな?と思って調べてみました。3位以上が3回以上ある厩舎をピックアップしてみました。
【1着.2着.3着.着外】
平田義弘厩舎【2.1.1.2】
金田 勇厩舎【0.3.1.2】
坂本東一厩舎【0.1.2.6】
 平田厩舎が2勝していますが、今年は出走馬がいません。坂本厩舎も同じく今年は出走馬無し。金田勇厩舎からマルホンキンカとアバシリモミジの2頭が出走します。


 
 今年はもう、スーパーチヨコさんが勝つんじゃないかと思います。ただ2着はどうでしょう。前走B2クラス出走で連対、紅バラ賞3着以内で相手をピックアップすると、ミュウアバシリモミジマルホンキンカの3頭に絞れます。ただ、今年は全般的に出走馬のクラスが低いので、B2クラスの連対馬だけではなく、出走馬まで手を広げて…ゴールドクイーン、クリスタルジェンヌを3連のヒモに混ぜるかんじでしょうか…。

 と…ここまでがデータ予想ですが…。

 心の◎はマルホンキンカ!マユヒメさんの年上の姪っ子にあたります。当歳の時も見ていてイラストも描いているキンカさんがこの大舞台でどのくらい活躍するのか!本当に楽しみです。そして推しのもう一頭はもちろん4コマにも登場いただいたスーパーチヨコさん。馬体重がどうなってるかひそかな楽しみです(笑) 強いチヨコさんを見たいと思っています。馬券は馬連1点とキンカさんの単複、以上。という推し買いで終わるのではないかと思います。

実は重賞勝ち馬を描き始めてから初めて!の
芦毛っ子です。毛色もさることながら
顔も可愛いです。NARで産地がたどれる限りで
おそらく初の岩手県産馬です。

 重量の影響が如実に現れたレースだと思いました。私は以前、ばんえい競馬新聞の読み方という記事をまとめる時(※)に、競馬ブックのばんえい班の生駒さんから「重量は平地競馬の距離に近いものがある」と聞いたことがありまして…ざっくり言って、重量が重い=長距離 重量が軽い=短距離。これは馬の適性についてもそうですが、騎手の技量についても言えるのではないかなぁ…と思っています。菊花賞、天皇賞など「長距離は騎手で買え」とよく言います。ペース配分や駆け引きに力量の差が大きいのだと思います。そして、ばんえいも曳く荷物が重くなれば…「騎手で買え」ということになるのではないでしょうか。

 鈴木騎手の手綱さばきが際立ったレースでした。ミュウは無理せず先行して、タイミング良く障害にかかり、最後まで脚色が鈍らず…大本命のスーパーチヨコさんをかわしてゴール。レース終盤の衰えない歩きは、前半余裕をもって先行できたこと、スムーズに障害を越えることができたからこそのものだと思います。もちろん、鈴木騎手の指示に応える事が出来たミュウが素晴らしかったです。黒ユリ賞で3着、オークスで4着。常に世代牝馬のトップクラスで頑張ってきて、4歳のクインカップで嬉しい初戴冠。2歳戦で活躍できる馬格をもちつつ、成長力もある馬なのだと思います。

 チヨコさんは、最後の最後詰まってしまったのは700㎏の重量かなぁ…。みんなと同じ重量なら、少なくとも2着は確保できていたと思います。でも、700㎏で馬券圏内を確保したのはやはり地力の証です。立て直してすぐ歩けるようになったのも成長しているなぁと感じます。

 牝馬にとってクインカップの重量は、牡馬の古馬重賞にも似た重みがあるのかもしれません。(ヒロインズカップは若い牝馬にとってはばんえい記念のような重量感なのかも…)紅バラ賞で上位に来ていたアバシリモミジが競走を中止して、前走はB2クラスで勝利していたマルホンキンカもゴールがやっとでした。応援していたキンカさんの敗因は間違いなく重量です。それでも、あきらめずに曳き切ったところにキンカさんの勝負根性を見ました。お姉さんのサツキヤッテマレもそうでしたが、デラックプライムさんの娘たちは本当に根性があります。負けん気が凄い!(それが掛かっちゃう方に出ることも、ままあるんですが…)。繁殖として期待されている子なので、あと何戦見られるかわからないけど、一戦一戦大事に見守りたいと思っています。

 ちょっと脱線しますが、ばん馬達は高重量が「得意」な馬はいないと思います。基本「我慢できる」かどうか。馬格や気性、体型、障害の巧拙も含めて、より高重量に耐えられるか否か。スピードは有る無しがはっきりしていて、得意不得意で言えるけど、重量に対しては一律みんな苦手。ただより我慢が効くか効かないか…なのかな…と思っています。スピードがあって高重量も我慢できる…というのはもう、メムロボブサップのような超トップホースなのだと思います。

 3着はゴールドクィーン。やはり前走B2クラス出走馬から入着馬が出ました。平地競馬で使う予想ファクターがほとんど無いばんえい競馬ですが、牝馬重賞、世代重賞といった前走出走レースの格付け差があるレースは格付けを重要なファクターにすると、予想しやすいと思います。

※ばんえい競馬新聞の読み方は週刊競馬ブックの2019年3月11日発売号のオッズパーク記事広告で作成したものです。今は馬場の砂が変わってしまっているので、タイム感覚などはだいぶずれてしまっていますが、基本的な考え方は5年前も今も変わりません。とはいえ古い競馬ブックってなかなか手に入りませんよねぇ(^_^; ホクショウマサルが絶賛連勝中だった時で、マサルメーターなるものを作ってクラス解説など頑張って作ってみたんですけど…。

レース結果