2024年第1回能力検査観戦 ~後編~

 前編では合格した馬や1番時計の馬を取りあげましたが、後編は能力検査を見てきて「おぉ!」と思ったものをご紹介します。推し活も混じっていますがご容赦ください。

 実は第1回で推しの一族、マルホンの馬が出走していました。18レースにエントリーしていたマルホンカムイは母スズネスウィート、祖母は良姫。つまりマユヒメさんの(一般的にはマルホンリョウユウの)甥っ子にあたります。ただ、入厩したタイミングと第1回までの能力検査までの間に日が無くて、きっと第1回は出ないのではないか?と思っていたので、出走表を見て驚いたくらいだったのです。

 マルホンの2大看板牝系、良姫さんの一族(もう一つはミスタカシマを出したアグリタカラさんの一族です)はどちらかと言えば奥手で、兄弟そろってなかなか第1回の能力検査に出走して好成績…とはいかないイメージでしたから、出走しても、合格はちょっと…完走できるといいな…と思っていました。そして迎えるドキドキの第18R。勝ち馬のホクセイシンザンには申し訳なかったけど、マルホンカムイの追っかけをしていました。

 写真の通り不合格…なんですが、これは厩舎の方も結果はわかっていて、マルホンカムイに競馬場でのソリの曳き方を教えているような能力検査でした。2障害で止まってしまい、合格タイムが過ぎた直後、すぐに厩務員さんが駆けつけて、厩務員さん三人がかりでゴールしているのをみて、ああ、本当に実戦で教えているんだなぁ…と。とにかく本走路を走り切りゴールをさせる、馬に教えるという厩舎のスタッフの心意気が見えた能力検査でした。マルホンカムイは第2回の能力検査では自力で障害を越えました。映像を見ていましたが、2回目はかなり辛抱強く厩務員さんの介助は入りませんでした。そして3回目で無事合格!
 日々の鍛錬と厩舎&騎手の地道な調教のたまものだと思います。そして、限られた能力検査の回数の中で合格させるためには、準備万端で、一発合格!という方法以外にも、練習のための検査出走もあるんだな…と知りました。マルホンカムイはまだデビューを迎えていません。きっとデビューしてちゃんとレースになるまで調教を積んで成長を待っているのだと思います。今からデビューが楽しみです。

 騎手の腕も能力検査の見どころの一つです。なんといっても、コースに出たことが無い馬がほとんどの2歳馬たち。まっすぐ走るのだって大変なのに、出走馬の多くは2つの障害を続けて上るのは初めてです。(なお、事前に走路に入って練習している馬もいます)騎手は暴走を止めたりまっすぐ走らせたり、障害前で我慢させたり、無事に坂を登らせたり…本当に技術と体力をフル稼働して能力検査に臨むのです。それぞれの馬の未来がかかっているので、大変で重労働で…そしてものすごくシビアな騎乗が続きます。

今回すごいなあ!と思って見ていて思わず声が出たのが10レースにエントリーしていたアバシリタカラコマ。結果1着入線して2分30秒台の好タイムで合格しているのですが…

 いや、すごかったです。結構派手に躓いていたのですが、グィン!と馬の頭が上がって着いた膝が地面から離れて、本当に一瞬で立て直していました。オレノココロのばんえい記念で、あれだけ膝をついても立て直せるんだもんなぁ…そりゃあそうか…と思いながら改めて鈴木騎手の凄さを観ました。上手いなぁ! もちろんそれができるだけの能力がアバシリタカラコマにあったからですが、鈴木騎手だからこそ2分30秒台の好時計が出せたことは間違いありません。

千尋騎手の勝負服とマリンという名前にちなんででしょうか。
綺麗な水色のたてがみ飾りに青い馬具が鮮やかでした。
コースの内側では中村太陽騎手がずっと様子を見ながらついていました。
同厩舎だし、もしかしたら普段の調教は中村騎手なのかな?
心配そうな様子が写真からも見て取れて微笑ましいです。

 そんな騎手にとってはハードでシビアな能力検査に、今井千尋騎手の騎乗がありました。14Rのホクセイマリン。残念ながらこの能力検査では合格できませんでしたが、それでも自力で障害を越えて4着で入線しました。ホクセイマリンは第2回の能力検査では見事1着で合格しています。この時の騎乗も今井騎手です。能力検査で騎乗した馬はその後もしばらくは同じ騎手が騎乗することが多いので、ホクセイマリン&今井千尋騎手のコンビがデビュー戦で見られるはずで、それも楽しみです。
追記です:6/16のばんえいのレース中継で知りました。全道1歳の祭典ばん馬の優勝馬「ホクセイマリコ」はホクセイマリンだったんですね!

 第1回の能力検査は多くの馬が出走するため、生産者や牧場関係者の方もたくさん来ます。昨年第3回を見学したときはなかった直売店も出ていました。馬具の出店です。色鮮やかなモクシや頭絡、引き綱、そして肩回りの馬具(わらび型)を締める胸じめを覆うカバーなど、おお!と思う用品がいろいろ。手に取ってみたかったけどグッと我慢(笑) 
(ばんえいの馬具に関しては素人で、ばんえいまんが読本の図説をみてそうかな?と当て推量で書いているのでもし間違えていたらご指摘ください)

そしてもう一つ。第1回ならではなのが各種名簿の販売。1冊1000円とお高めなのですが、私にとっては貴重な資料なので、奮発して購入。能力検査出走馬の名簿には、現地でお会いした日野未来さんのサインをいただいてしまいました。しっかり中身書き込んでいて使いこんじゃっているんですけど、スペシャルな記念品です。

また来年も行きたいなぁ!春先は何かと平地競馬の仕事もあわただしいけれど、上手く仕事をやりくりして観に行きたいと思っています。実は複数の方に「第1回の能検は初めてでしたか?!」と聞き返されてしまいました。そうなんです。こんなに熱心なファンのくせに、第1回の能力検査、初めてだったんです。素晴らしく楽しい体験をさせていただきました。お世話になった皆様、本当にありがとうございました。この場を借りて大変遅ればせながらではございますが御礼申し上げます。