足寄放牧地探訪記
夏休み、どこに行きたいかと言えば北海道です! 今年はホークス戦が旭川でありましたので、そこに合わせて帯広の競馬をくっつけ月曜日~水曜日まで北海道に飛んでいました。競馬にホークス戦に、煩悩の夏休みです。そして、夏に十勝管内に行くのなら、ぜひ訪れたいと思っていたのが足寄の放牧地。今夏ようやく訪れることができました。ということで、ちょっと血統のコラムはお休みして放牧地の写真をアップいたします。
牧場の方針によって違いますが、ばん馬の多くは血統登録や受胎確認がすんだ6月中旬ごろから、雪が降る前までの夏、広大な放牧地に長期放牧に出します。これを「入牧」(にゅうぼく)といって、その間舎飼いをしないのが一般的です。秋に馬を牧場のに戻すことを「下牧」(げぼく)といって冬に備えるわけです。これは遠野の乗用馬生産でもよく行っている飼育方法で、最初に聞いたとき、驚くとともに遠野の乗馬みたいだな…と思ったことを覚えています。
ばん馬の入牧と下牧に関しては、下記のブログで小久保さんが素晴らしいルポをしていらっしゃるのでぜひご一読を!(下記リンク貼りました)
ばんば牧場便り【 Vol.26 】夏の放牧
ばんば牧場便り【 Vol.33 】冬に備えて下牧
今回訪れたのはこの下牧で紹介されている放牧地です。
本来、放牧地は関係者以外立ち入り禁止ですが…というより、まず普通にたどり着けませんが…今回は馬を放牧している本寺牧場のオーナーにお願いをして連れて行っていただきました。「あれ?初めてだったっけ?」と本寺さんに言われるくらい、本寺牧場には何度も足を運んでいるのに(笑)、足寄の放牧地は初です。そうなんです。いつもばんえい記念の前後でおじゃましているので、夏の放牧地のお話は聞けども見に行く機会はなかったのです。コロナ前、民泊の学生さんたちをつれてこの放牧地で写真を撮っている姿を見て、一度見てみたい!とあこがれていました。
この放牧地は町営です。とにかく広い! 畑作に向かない土地だから…ということで広大な土地が共有の放牧地になっていて、いろいろな牧場さんが共同で使用します。牛も馬も使います。そして牧草地にもなっていて、牧草も刈ります。山のてっぺんなので水がなく、水道がひいてあるので、水回りの管理が大変なのだそうです。
山の下の方は数多くの若い牝牛達が放牧されています。(本寺さんのお話が面白いのと、道がすごいのとで写真撮りそびれました)仔牛を生む前のピッチピチのホルスタインたちが本当にたくさん放牧されていました。本寺さん「牛の女子大」とおっしゃってました(笑) 牛を横目にみていると、途中、ここからラリージャパンのコースなんだよね~という、結構細い砂利道もにさしかかります。うわ、こんなとこラリーカーは猛スピードで走るのか!という道です。
牧草地を兼ねているので、通りがかりでたくさんの牧草ロールを見かけました。また、雨降り前に…という感じで重機で作業中でした。牧草は1番草と2番草があって、今巻いてあるロールは1番草。この後刈った後に伸びて来るのをもう一度収穫するのが2番草。もちろん、初夏のいい時期に伸びた1番草のほうが栄養価が高く高価です。なんだかお出汁のようです。1番草、2番草は用途によって使い分けると聞きました。
1番草の解説を聞き終えたくらいのところで、車が到着し、ここから入ってね。と鉄条網を持ち上げてもらってくぐって馬の放牧地へ入りました。
鉄条網と書くとサラブレッド競走馬のファンの方はちょっと驚くかもしれませんが、広大な放牧地の鉄条網は一般的なアイテムです。もし読む機会があれば荒川弘さんの「百姓貴族」という漫画ご一読ください。十勝の酪農兼畑作農家出身の漫画家さん(というより鋼の錬金術師や銀の匙でおなじみですよね)が描かれた実録農家ブログ漫画で非常に面白いです。鉄条網や電気柵などの牧柵グッズ?についても詳細が描かれています。広大な放牧地の必需品です。
この辺にいつもいるはずなんだ…とちょっとした丘陵を上っていくと…
うわ~~~いる! という不思議な感じです。広い景色の中で馬の群れを探すって、競馬場でしか馬をみていないとなかなか体験しないので、うわ、あそこにいた!というサファリパーク的な感じがすごく新鮮です。この感覚、拙い文章で伝わりますでしょうか(笑) 空胎のお母さん候補と親子(仔馬は当歳)の12頭ほどの群れです。
近づいていくと、不思議そうにのぞき込まれました。それが冒頭の写真。多分見慣れない奴が来た…って思っていたんでしょうね(笑)
群れの中から一番人懐っこい女の子「花鈴」さんがなでて~~~とご挨拶にきてくれました。本当になつっこくてかわいい。この子はインフィニティーの子でお母さんのお父さんはニシキダイジン。両ばんえい記念馬からたくましい骨格をうけついでいました。
馬が立っている丘の上までのぼって周りを見回してみると…
天気が曇っていて残念。晴れていると雌阿寒岳や阿寒富士が見渡せるそうです。でも、曇りでも圧巻の風景でした。丘陵が続いているので水飲みの移動や虻除けで風通しのいい丘陵のてっぺんまで移動することで足腰が鍛えられるそうです。
馬たちが立っている場所はいつもの虻除け休憩場所のようで、草が踏み固められています。人も歩きやすかったです。
脈略無く写真を張り付けてしまいましたが、のんびりした放牧風景を少しお伝えできましたでしょうか。
それにしても、ま~~広い! 日常生活でまずこの広さの空間を見ることがありません。ただひたすら広い!すごい!かわいい!を連呼している時間でした(笑) 馬たちも自分から寄ってきてかまって~となる仔馬もいれば、我関せずで人に近寄らない仔馬もいます。人に撫でられるの嫌いって子もいます。馬ってものすごく個性的!ということが実感できました。そして素晴らしい景色と馬を見れて大感動の時間を過ごしました。