ばん馬こぼれ話 Vol.5 端枠は不利?有利?
カメラ目線は嬉しいけれど…
人の目を気にするのは馬も人も一緒なんでしょうね。第2障害は人馬ともに集中しないといけないのですが(笑)
実は、このイラストにはモデルがいます。16歳の最高齢で引退したコトブキライアンです。引退レースはばんえい記念の日。それはもうたくさんのお客様がコトブキライアンを応援してくれました。そして彼は大外枠。
まさにイラスト通り!彼も馬生のなかで初めての受けた大歓声、しかも自分の名前をたくさん呼ばれて「なに?!?!」と振り返りたくもなろうというもの。ばんえい競馬において枠はあまり関係ありませんよ。直線のセパレートコースだし…と言いたいところですが、条件によってはやはり外枠は不利なんじゃないかな…と思わずにはいられませんでした。
同日のばんえい記念では、私が本命にして、単勝を握りしめていたインフィニティーも…やはり大外枠で大声援を気にしていました。
あまりいい写真じゃなくて申し訳ないのですが…見事なカメラ目線…つまりお客さんの方を向いているんですよね。
観客とコースが近く、第2障害の下で止まるばんえい競馬ならではです。だからといってこの距離感、応援がなくなるということは考えたくないので…本当に痛し痒し…なのです。
端枠のメリットデメリット
外端枠は観客ですが、内端枠は馬場の向こうで並走する厩務員さんたちがいます。普段お世話をしてくれる厩務員さんの声や姿。気にする馬は気にするのだそうです。気になって動きが悪くなる馬もいれば、厩務員さんの掛け声にはっぱをかけられて頑張る馬もいるので、かえって内端枠が良い馬もいます。
端枠の得手不得手は馬の個性によるものです。端枠だからといって機械的に割り引くのではなく、好きな馬や馬券予想で◎を打ちたい馬が端枠に入った時、その馬の端枠出走時の成績をぜひチェックしてみてください。
これはけっこう重要な予想ファクターになると思います。枠と人気と着順と…1枠に入って人気以上の成績を続けているようなら「1枠得意」ということになります。外端枠も同様です。普段はばんえい記念の日のような大歓声はないですし、お客さんの声援が気にならず、外枠の方が良いという馬もいます。
私の大好きなメジロゴーリキは外端枠が得意です。岩見沢記念(2021年)と北見記念を大外枠で制していますし、銀河賞、岩見沢記念(2019年)、帯広記念では2着にきています。2歳のA1クラスでも外端枠で勝っているので、若駒からの特徴のようです。左隣に馬がいないほうが障害に集中するタイプなのかな…と思っています。
直線セパレートコースのばんえい競馬でも「枠」は結構重要です。
内詰め、外詰めでなるべく両端枠をまんべんなく使用しているものの、もともと端枠は使用頻度が中枠より少なく、砂の摩耗が遅れて少し馬場が重い…といわれています。でもそういった物理的なものより、馬の性格によるメリットデメリットの方が端枠では大きいのでは?と私は思っています。
そして馬の個性が際立つこういった有利不利もまた、ばんえい競馬の面白さです。